薄桜鬼・妄想小説 long story

□永倉新八 【想い人〜再会〜】
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「あー!次おれが見る番だよぉ!」



「あたしにも貸してぇ!!」



「うわぁ、キラキラしてるぅ」




子供たちが手にしていたのは、万華鏡だった



なんとなく、子供たちに近づいていくと、俺に気がついた子供たちが顔をこわばらせた




「あー、いや、驚かせちまって悪ぃな。お前ら、万華鏡、好きなのか?」



「うん!キラキラしてて、綺麗なの!」



「なに、おじさんも万華鏡見に来たの?」



「おじっ……あー、嫌……、うん、まぁ、そうだな。俺も見たいかな」



「じゃあ、これ!はい!」




万華鏡を持ってた女の子が、可愛らしい笑顔を向け、俺に万華鏡を手渡した



ちょっとぎこちなくなりながらも、その中を覗いてみる



ゆっくり回すと、色とりどりの花が咲き乱れていき、綺麗な輝きをのぞかせている




「…ほんとに綺麗だな…」



俺がボソっとそう言うと、一人の女の子が俺に向かって



「でもね、お姉ちゃんが持ってる万華鏡の方が、もっとキレイなんだよぉ!」



「そうそう!!お姉ちゃんのが一番キレイ!!」



「万華鏡じゃなく、お姉ちゃんもキレイだけどな!!」



口々にお姉ちゃんという子供たち



誰かの姉ちゃんなのか?




「その姉ちゃんも万華鏡、好きなのか?」



「うん!毎日見てるんだよ!それでね、あたしたちにも見せてくれるの!!」




「すごーく大切な人からもらったから、大事に大事にしてるんだって!」




「………」




大切な人に…もらった…



万華鏡…?




「でも姉ちゃん、今日は店休みだって言ってたから、つまんないんだ」



「ふふ、こうちゃんはお姉ちゃんに会いたいだけでしょー!」



「ち、ちげーよ!!そんなんじゃねーよ!!」



「ダメだよー!お姉ちゃんにはもう好きな人がいるんだから!すっごいかっこいいって言ってたじゃない」



「ふん!どーせ、ろくでもないやつだよ!全然お姉ちゃんのこと、迎えにこないじゃんか!」




「違うよー!会いたくても会えない事情があるっていってたもん!でも、いつか会えたらいいなぁって!」




そんな子供たちの会話を聞いていた俺の心臓は、激しく鳴り響いていた










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