薄桜鬼・妄想小説 long story

□永倉新八 【想い人〜再会〜】
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店を出て、林の中を辺りを見回しながら、言われたとおりの方向に進んでいく



しばらく進むと、足元に桜の花びらが落ちているのを見つけて足を止める


…もう少し先か


また、ゆっくりと進んでいくと、少しひらけた場所が見えてきて、桃色のきれいな花びらが風に乗って、フワフワと舞っていく



林を抜けると、そこには大きな桜の木がそびえたっていて、その木の下に座って、桜を見上げている女のうしろ姿が見えた



黒い綺麗な髪は下ろされ、サラサラと風になびいている


桜を見上げていた彼女が、その手に持っていたものを覗き、ゆっくりとまわし始めた


その愛おしい姿を眺めながら、少しずつ、ゆっくりと近づいていく


彼女に手が届くところまで近付いた時、俺の気配に気付いたのか、こちらを振り返ろうとする彼女


振り返る前にそのまま後ろから、そっと俺の腕の中に包み込む


懐かしい香り…


懐かしい感触…


ずっと触れたかったお前が、今俺の腕の中にいる…


思わず腕に力がこもる



「…やっと…見つけた…」



そう耳元で告げると、彼女の体が少しこわばる


その体を、いっそう強く、優しく抱きしめる



「…新…八…さん…?」



とても小さく、震えるようなか細い声が俺の名を呼ぶ


ずっと…ずっと聞きたかったその声…



溢れる想いに我慢が出来ず、結花を抱き上げそのまま唇を重ねる



柔らかい唇に何度も、ついばむようにおとす口づけ…



そっと唇を離し、抱き上げた体を俺の膝の上に乗っけて、目をまんまるくした結花の頬を両手で包みこんだ



「…結花…会いたかった…」



「…ど…う・・し…て……」



やっぱり、震えるような声でそう言う結花の瞳には、涙が浮かんでいる



「ごめんな…すぐに見つけてやれなくて…ちょっと、時間かかっちまったな…」



「そ…んな…見つける…って…だ…って…」



目から涙が零れおち、俺の手を濡らす


その涙を、指先でそっと拭いながら、結花の瞳に口づけをおとす



「…泣くんじゃねぇよ。俺は結花の笑った顔が見てぇんだ」



「…そ・・んな…の……無理・・です…よ…」



そう言いながら、ポロポロと涙を零す結花をぎゅっと抱き寄せる



俺の背中に回った結花の震えた手が、俺の着物をぎゅっと掴んだ









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