恋愛上等イケメン学園・妄想小説
□冴島由紀 【誤想】
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コンコン
「…誰?」
中から警戒心剥き出しの声が聞こえ、俺は片方の口端をゆっくりと上げた
そりゃそうだろうな
もう生徒も下校し、陽も沈みかけたガランとした校内で
こんな時間に保健室を訪ねる奴なんざぁ、いねぇわな
ガラッ、と勢いよくドアを開け放つと、こっちを怪訝な顔で見つめる…というよりか、睨みつけるっつった方が正しいか
ま、どう見ても歓迎されていないのがまるわかりな表情で出迎えてくれた結花
まだ白衣を身に纏い、何か作業をしていたのか、足を組んで机に向かっていた
長い髪を一つに纏め、白い首筋がやけに色っぽく覗いている
「…何の用?」
「相変わらず冷てぇなぁ」
ドアを閉め、笑みを湛えながらゆっくりと結花に近付いていく
結花は呆れたようなため息を吐くと、俺を無視するかのように机の上のプリントに目を滑らせた
「まだ仕事してんのか?」
「…御覧の通り。用がないなら帰って。邪魔だから」
結花の素っ気ない態度に、ククッ、と笑いが零れるのを感じながら、結花の目の前まで来ると、机の両端に手を置いて、顔を近づけた
「…今度、聴力検査でもした方がいいんじゃないの?」
「んじゃ、お前がしてくれよ」
「断る…・・」
言っている傍から結花の顎を掴み、顔を上げさせる
互いの鼻が触れ合い、唇がすぐそこにある状態でも、結花は顔色ひとつ変えやしねぇ
それどころか…
「…一回寝たくらいでいい気にならないで」
この俺にそんな強気な言葉を投げつけられるのは、お前くらいなもんだよな
やっと体を重ねられたと思ったら、こいつ、全然こっちを見ようともしねぇ
やっぱまだ抱くのは早かったか…と思いながらも、俺はこいつを落とす絶対的な自信があった
だってよ…、お前は好きでもねぇ男に、そう易々と体を触らせるような女じゃねぇだろ?
強がっては見せてるが、一度抱けばそんくらいわかんだよ、ったく…
ほんと、素直じゃねぇよなぁ、お前は…
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