恋愛上等イケメン学園・妄想小説
□冴島由紀 【bitter chocolate】
1ページ/18ページ
今日は職員会議の準備のために少しだけ早めに学校へと向かった
学校へつき、職員室でささっと準備を済ませてから、会議の時間まで一服するために化学準備室へと入っていった
由紀「フゥ〜…」
コーヒーを淹れたマグカップを傍らに置き、タバコの煙を深く吸い込みゆっくりと吐き出した
…そろそろ登校してくる頃か?
片手にタバコを挟みながら窓際に腰掛け、カーテンを揺らしてまばらに歩いてくる生徒の中に結花の姿を探す
何分かそのまま校門前を見下ろしていると、長い髪を揺らしながら颯爽と校門をくぐって来る結花の姿を見つけた…
のだが…
由紀「…チッ、あんのうじ虫共が…」
その結花の周りにたかる黒い集団…
まるでゴキブリのようだな、と思いながら、タバコの火を灰皿に押し付け、俺は即座に化学準備室を後にした
結花はこの学園唯一の女教師だ
まぁ、教師といっても保健教諭だから、授業という授業はしないし、担任を持つこともない
あいつが生徒に深く関わる事はほとんどないのが救いといえば救いだが…
女子生徒もいないこの学園で、しかもあの容姿だ
いくら冷めた性格で邪険にあしらわれたとしても、それが逆に男どもを煽るんだろう
今じゃあいつは、学園内のアイドルみたいなもんだ
用もなく保健室にはいつも誰か彼かが居座っていやがる
廊下を歩いていればあっちこっちと声がかかる
放課後は遅くまで残ってるからそこまでじゃないにしろ、朝だってあいつの周りにはだいたい生徒がたかっていた
今日は…いつも以上に集っている気がしたが…
…あぁ、そうか…
今日はバレンタインか…
つーか、あいつがお前らのチョコなんか用意してるわけねぇだろうが
と、いうよりも…そもそも今日が何の日だかも覚えてんのか?あいつは…
最近は互いに忙しくてほとんど会う暇もなかったしな…
学校では顔は合わせてるが、ただそれだけで、もう何日もあいつに触れてねぇ
そろそろ禁断症状でも出てくんじゃねぇか、と思うくらい、俺はあいつを見かけるたびに犯したい衝動を必死に抑えた
…でも、考えてみれば抑える必要もなかったんだろうが…まぁ、生徒の手前、一応な
今日は確か、放課後は予定も何も入ってなかったはずだが、俺に連絡の一本も寄越しやしねぇ
完全に忘れてんじゃねぇか?2月14日が何の日かってことをよ…
なんとなく口端があがり、ククッ…と漏れる笑い声を片手で抑えながら、ガヤガヤをこっちに向かってくる集団に向かって歩き出した
⇒