恋愛上等イケメン学園・妄想小説

□冴島由紀【失考】
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ガラッ




いつものように朝のHRに教室へと入る




がやがやと煩い野郎共に一喝しながら教壇の前に立ち、いつものようにあいつの席に視線を向けると…





「……」





いつもそこにいるはずのあいつがいねぇ…




休みの連絡も入ってねぇはずだが…




そう思って机の横を見ればあいつのカバンがきちんとぶらさがっている




てことは…学校には来てんだな…




どこ行きやがった?便所か?




そう思っていた矢先、吾妻が相変わらずのでかい声で俺に話しかけてきた





「そういや由紀ちゃん!結花なんだけどさ、なんか朝から具合い悪そうでさぁ〜」




「そうそう!みんなで今日は休んだ方がいいって言ったんだけど行くってきかなくて…」




「…意味わかんねーよな。そんなに学校に来たいのかよ」





…吾妻の言葉を聞いた途端、他のやつらが次々にしゃべる言葉は俺に耳には届かなかった




代わりに何故だかすっと冷静になった頭がもう一つの空席を俺に教えた





「…藤堂はどうした?」





藤堂がいないことなんていつもの事だが、なんとなく不安が頭をよぎる





「零ちゃんなら結花ちゃんに付き添って保健室に行ったけど…」





…やっぱりな




確かに一人で保健室に行かせるのは無理だったにせよ、なんでまた藤堂なんかに頼るか、あいつは…





「…チッ」





思わず口から洩れる舌打ちと眉間による皺




てことは、今保健室にはあいつと藤堂の二人きりってことじゃねぇか




こんな時に限って保健教諭は遅刻だとか…




ふざけんじゃねぇぞ、ったく…





「まぁ、藤堂がついてるなら心配はないだろうがな」





わかってねぇな、水瀬




お前だったならまだしも、藤堂が一番危ねぇんだよ




つーか、元はと言えばなんであいつは具合が悪かったってのにわざわざ登校してきたんだ?




最初から寮で大人しくしときゃ良かったものを…




今にも飛び出てきそうなイラつきを抑えるために口から盛大なため息をひとつ吐き出し、野郎どもに必要事項だけを口早に伝えてから足早に教室を後にした










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