恋愛上等イケメン学園・妄想小説

□冴島由紀 【想違】
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龍海「…なぁ、どっかでケンカでもあったのか?」




吾妻「いや〜、違うんじゃねぇの?つか由紀ちゃんここ最近ずっとあーじゃん」




水瀬「まぁ…“師走”だからな」




龍海「はぁ?なんだよそれ」




吾妻「“しわす”ってそんなに大変なのか?」




藤堂「…水瀬がそんな冗談言うなんて珍しいな」




水瀬「…なんとなくだ」




吾妻「なんだよ零ちゃんまでっ!つーかなんなんだよ“しわす”って!」




榊「“師走”っていうのは陰暦で12月のことだよ。いろんな意味が言われてるけど、12月は先生も走り回るほど忙しいっていう風なのもあるから啓ちゃんはそれを今の由紀ちゃんに当てはめたんだよね」




龍海「……なるほど。あの面倒臭がり屋でいっつもダラダラしてやがる由紀のあの様子がまさにそれってことか」




吾妻「由紀ちゃんも走るほど忙しい月ってことかぁ〜!!」




そう、12月に入ってから、由紀ちゃんはいつもの倍以上に忙しそうにしていた




急な仕事が入って来たのか、それともため込んでいた仕事をやらなきゃならないのか、仕事以外の何かに忙しいのか、それはわからないけど




化学準備室で過ごす事がほとんどだった由紀ちゃんが、そこにいることも珍しいくらいにあっちこっちと出回っていた




そんな由紀ちゃんを横目に見ながら廊下でたむろしていた皆の輪からそっと抜け、俺は由紀ちゃんよりも気になっていた人の元へと歩き出した




階段を下りて一階の一番端の部屋のドアをコンコン、とノックすると、中から凛とした声が俺を受け入れてくれる




その言葉通り静かにドアを開け中へと進むと、窓際に少し寄りかかる様にしながら白衣のポケットに手を突っ込んで立っている結花の姿が真っ直ぐ目に入ってきた




俺の方を見ること無くただ黙って窓の方を見つめたままゆったりとした声が俺に話しかけた




「…なにサボり?」




「ちょっとぉ〜、いきなりそれは酷くない?もしかしたら本当に熱があるかもしれないじゃない」




「ってことは、熱はないってことね?やっぱりサボりじゃない」




言い終わってからゆっくりと俺に向き直り俺を見つめる目がふわりと細まる




横にゆるくお団子状にひとつに纏めた髪の毛から流れる数本のふわりとした髪揺らしポケットに手を突っ込んだまま俺のすぐそこまで近づいてくると、ほんの数秒間を空けてから“何かあった?”と訪ねてきた




自分のデスクに腰掛ける結花ちゃんを見つめながら、“何かあったのは結花ちゃんの方じゃないの?”と聞き返すと、パソコンを触ろうとしていた手がぴたりと止まった




そして瞳だけが俺を見上げ不思議そうな顔をしながらしばらく時が止まったように静まり返っていた
















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