恋愛上等イケメン学園・妄想小説
□梅咲夏男 【抑制】
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朝から身体がだるい…
熱は…どうなんだろう、こういう時って本当にあるのかどうかも自分じゃわからない
ただ単に布団に入っていたから熱く感じるのか、それともやっぱり本当に熱があるのか……
でも本当に高熱だったらきっと動くこともままならないだろうし、今の状態はそこまで動けないと言うわけでもない
ただ疲れがたまってるだけなのかもしれないし…
とりあえず、ベッドから這い出るように抜け出し、ボーッとする頭をなんとか働かせるようにしながら普段より重たい身体を気力で動かしていた
そうしているうちに、いつもの時間よりも少しだけ遅く食堂へと入っていくと、テーブルの上にはいくつか食べ終えたお皿だけが置いてあるだけで、イスはどれもものけの空だった
…そりゃそうだよね、もう学校に行かないと間に合わない時間だし…
そう思ってキッチンから微かに聞こえてくる物音に少しだけ微笑みながらその傍まで近づき
「……梅さん、もう時間ないしそんなに食欲もないから朝ごはんいらないです。ごめんなさい」
そう言ってそのまま学校へと向かおうと背を向けた私の足が二歩進んだところで、くいっと後ろに腕がひかれる
そしてその勢いのまま、ポスンと硬い胸板が私を受け止めていた
「……?」
ゆっくりと後ろを振り返った私の目の前に、梅さんのいつもの笑顔が出迎えてくれていたけれど、その笑顔に私の表情が一気に強張った
「……あ〜ら、どこに行くのかしら〜?結花ちゃ〜ん?」
……明らかに目が笑っていない梅さんにギョッとしながら後ずさろうにもしっかりと腕を掴まれていて身動きが取れない
それでもどうにかジタバタと聞き分けのない子供みたいに抵抗をする私の体が、ふわりと宙に浮いたと思ったら、唖然とするままに連れ去られてしまった
――――梅さんの部屋へと………
そっとベッドへと下ろされた私の体はさっきよりもさらに何か重しが乗せられたかのように重く、寝かせられた途端に全身に倦怠感が巡っていく
目の前がぐるぐるもやもやと回されて、思わず瞳を閉じてしまった
そんな私の額にひやりとした優しい大きなものがそっと宛がわれ、数秒何かを確認するように置かれたその手が、今度はすっと頬を滑っていく
そして、それが首筋までたどり着くと、慣れた手つきで私のブラウスのボタンをプチンプチンと外していった
半分くらい外されたところで、今度はその手が肌を伝い私の背中に回されたと思ったら、カチッと小さな音と共に解放された胸の締め付け…
思わず薄く瞳を開け、小さく唇を開けて“彼”の名前を呼んでしまった
「……な、つお……?」
そんな私のすぐ上で、フッと微笑む息遣いが聞こえたかと思ったら、唇に柔らかいそれが優しく降りてくる
「……本当に困った子だね、結花は……」
……低く響き渡る声でそれだけ言い残して、夏男は静かに部屋を出ていってしまう
行って欲しくない…傍に居て欲しい…
そんなわがままな程の想いが私の手をその背中に縋り付こうと伸ばされるけれど、残念ながらその手は届く事無く、そのまま私は力なく瞳を閉じてしまった
ただ・・・一筋の涙がすっと頬を伝うのを遠くの方で感じながら……
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