長編

□しらじらと明けていく夜5
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冷たく投げつけられた言葉に虎徹はカッと頬を赤く染めた。

「認めるんですね」
「はな…せ!」

思い切り振り払われた腕を再び伸ばして、バーナビーが虎徹を捕まえる。

「違うのなら、なぜ逃げるんですか?」
「別に逃げてなんか‥」
「じゃあ、なんで僕から目をそらすんです?」
「それは…」

あなたらしくない、と続けられた言葉に虎徹は唇を噛んだ。

(お前が…、お前が軽蔑した目で俺を見ているのを確かめるのがツラいんだ)

二人きりでいることに息苦しささえ、感じ始める。

「頼む。今日はこのまま帰ってくれ」

これ以上、二人きりでいることに耐えられそうになくて虎徹はバーナビーに懇願する。

「…分かりました」

ああ、ようやく一人になれるのだと安堵して虎徹が顔を上げるとそこには冷たい表情を浮かべたバーナビーが口元に笑みを浮かべて立っていた。

「って、素直に僕が帰ると思ってました?」
「バニー…?」
「いつも僕にお節介を焼く癖に、こんな時だけ蚊帳の外なんて納得がいかない」
「……」
「僕らはコンビなんでしょう?ねえ、先輩」


信じられないと言った目がバーナビーを見上げている。
バーナビーもまた、胸の奥からわき上がる警鐘に怯えながらも戻れない一歩を踏み出そうとしていた。






続く
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