短編2
□僕らのSex Life3(R)
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「最近、マンネリだと思いませんか?」
(あ、これってやべーかも…)
神妙な顔つきで切り出したバーナビーに、虎徹の背中を冷たい汗が流れ落ちる。
過去の経験上、この後に続く会話の流れは虎徹にとって有り難いものではない、多分。
「……」
どう対処すべきかを悩んでいると、畳みかけるようにバーナビーが言葉を続けた。
「ああ、もちろん僕らのセックスのことです」
「聞いてねーよ!」
「…聞こえてるじゃないですか」
「あ!…」
思わず突っ込みを入れてしまい、しまった!と後悔したが後の祭り。
「…帰りたい」
ボヤく虎徹にバーナビーはにっこりと微笑む。
それはファンが見たら卒倒しそうなハンサムスマイルだが、虎徹にとっては悪魔の微笑みだ。
そうして。
「行きますよ、オジサン」
いつものごとく首根っこを掴まれ、虎徹は寝室へと引きずられていった。
間接照明にこだわっているというバーナビーの寝室に置かれたドデカいベッド。
その上に虎徹の体を放り投げると、バーナビーは慣れた手つきで衣服を剥ぎ取ってゆく。
床に投げ捨てられたそれらを目で追いながら、虎徹は観念したように全身の力を抜いた。
(コイツとのセックスは気持ちいいんだけどなあ…)
勉強熱心な若者の与えてくれる快楽は正直、気持ちがいい。
ただ、限度を超えた快楽は苦痛に変わってしまうのだということを、この年になってから知ることになるとは思ってもみなかった。
「んっ…」
若者らしく瑞々しい肌が直接己の肌に触れ、その感触にゾクリと全身が粟立つ。
「虎徹さん…」
甘い囁きと共に背後から抱き起こされた虎徹は、あぐらをかいたバーナビーの上に座らされた。
「バニー?」
背中にぴったりと寄り添うバーナビーに虎徹が不安げな声を出す。
「今日はちょっと趣向を変えてみました」
「なにを…って、えっ?」
ピッと小さな電子音がして、室内の照度が落とされる。
同時にベッド上の二人の姿だけがぼんやりと、ほの暗い闇の中に映し出された。
(…てか、映し出され‥てる?)
「えっ!?」
目の前の信じられない光景に虎徹は思わず、絶句した。
「どうです?これだけの大きさの物って中々無くて、結局特注しましたよ」
「マジかよ…」
自慢気に語るバーナビーと虎徹の目の前の壁に埋め込まれた巨大な鏡。
そこに、絡み合う全裸の男二人の姿が映し出されている。
あまりの羞恥っぷりに虎徹の全身がカッと熱くなった。
「おい!バニー、やめろよ」
「何言ってるんですか?ここはもう、こんなに」
言いながら、バーナビーが膝裏に手を掛けて左右に大きく開く。
「あっ!」
バランスを失った虎徹の体は後ろのバーナビーにもたれかかるように倒れ込み、鏡の前に全てをさらけ出した。
「固くなってますよ」
「‥くっ‥」
フッと笑ったバーナビーの武骨な指が緩く勃ち上がりかけている虎徹のモノに絡みつく。
途端に体を震わせた恋人の感度の良さに、バーナビーは目を細めた。
「ねえ、虎徹さん。前を見て」
クチュリと音を立てて弄られる刺激に嫌でも全身が反応してしまう。
「く…そっ…」
次第に荒くなる己の息遣いが、手の動きに合わせてはしたなくひくつき始めた後ろの孔が、虎徹の羞恥心をますます煽ってゆく。
「ほら、目を開けて」
「あっ、やっ…」
「虎徹さん」
耳たぶを甘噛みしながら片方の手で乳首をギュッと摘んでやると、たちまち虎徹は喘ぎ声と共に目を見開いた。
「あ、あ、バニー…」
しっとりと汗で濡れた褐色の肉体が苦しげに揺らめいている。
「んッ!ん、あぁーッ!」
「見られて感じるなんてほんと淫乱ですね」
「ちがッ…」
すっかり勃ち上がり、先走りに濡れた虎徹自身を激しく擦りながらバーナビーは言葉でも追いつめてゆく。
「こんなにグチャグチャに濡らして」
「…そっ、なこと…」
「そんなにここ、触られて気持ちいいですか?」
「な…い…ヒィッ!」
先端を爪先で抉るようにすると、背中をのけぞらせ呆気なく虎徹は果てた。
「イくの早過ぎません?」
揶揄するような口調に虎徹が後ろを振り返る。
睨むようなキツい琥珀の瞳にうっすらと涙が滲んでいるのを見た瞬間、バーナビーの中の細い、細い理性の糸がブチ切れた。
「あ!あっ、やだ…バニー…」
「虎徹さん!虎徹さん!」
「はげし…しん…じま‥う…」
座位のまま、バーナビーは下から激しく突き上げ続けている。
パンパン!という乾いた音に混じって、抜き差しを繰り返す水音が室内に響き渡る。
虎徹は終始、喘ぐような啜り泣きを漏らしながら何度も精を吐き出していた。
「もう…やぁ、」
激しい快楽に半ば意識の飛んだ虎徹の体はそれでもなお、バーナビーを貪欲にくわえ込む。
「…も…むり…たすけて…バニー…」
「まったく、体は正直なのに」
「はっ!あぁーッ…」
ズルリと入り口付近まで抜いたモノを、また深々と突き刺す。
「また…イク!イっちゃう!」
「くっ、僕ももう…」
出ていこうとすると逆に逃すまいと締め上げる虎徹の内壁の心地よさに、たまらずバーナビーもまた熱い飛沫を吐き出した。
…そして、若いバーナビーに散々付き合わされた虎徹は途中で意識を失い眠りにつく羽目になるのだが。
翌朝、彼に虎徹の雷が落ちたのは言うまでもない。
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