お仕置きシリーズ

□お仕置きタイム5(R)
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『あなたが好きです』と突然の告白メールが年下の相棒から送られてきたのはつい、最近のことだ。
一緒にいる時はそんな素振りをまるで見せなかったくせに、なんて考えるくらいには俺も動揺していたんだと思う。
手の込んだいたずらかとも考えたが相手はあのバーナビーだ。
まず、有り得ない。
いろんな意味で。

出会った当初はツンケンしていた若者の俺を見る眼差しが、ある時急に色合いを変えたことには気づいていたが。
まさか、こういう展開に発展するとは青天の霹靂だ。
まさに人生は何が起こるか分からない。

――そして、「俺もお前のこと嫌いじゃない。けど、そういう対象としては見ることができない」そう返事をしたのがつい、さっきの話で。

「そうですか…残念です」と少し悲しげに顔を歪めたバニーちゃんに掛ける言葉が見つからず、俺は「ごめん」とだけ呟いてその場を立ち去った。



車は先日、故障が見つかり修理に出しているため、ここんところずっと通勤にはモノレールを利用している。
通勤や通学帰りの人でごった返すシュテルンビルト駅で目的の車両に乗り込むと、満員の乗客に押されて俺は入り口ドアに体を押しつけられた。

「うゎ、」

慌てて押しつぶされないよう、両手でドアを支える。

(昔はこんな風に毎日満員電車に揺られて会社通いしてたのにな…)

車での通勤に慣れた身にはこの混雑は少々ツラい。
人間ってこんな風に楽を覚えていくんだなと考えた時、不意に背後に人の気配を感じた。
こう人口密度の高い状況では仕方ないのだろうが、不自然なほどの体の密着ぶりに警戒心が沸き起こる。

「っ!」

ガタンと車体が揺れてモノレールが動き出した途端、尻の辺りに生じた違和感に思わず、俺は身体を固くした。

(なっ…)

明確な意図を持った手の動きに、あげそうになった声を慌てて噛み殺す。

(まさか、痴漢かよ!?)

言っておくが、俺は紛れもなく男で見目麗しき女性では断じてない。
しかも、子持ちのいい年をしたオッサンだ。
こんなオッサンの尻を触って何が嬉しいんだ、この変態ヤローめ!と振り向いて怒鳴りつけてやろうとしたら、あろうことか反対の手が衣服の上から性器に触れてきた。

「…あ、」

あまりのことにしばし呆然となった俺の前と後ろを知らない人間の手が無遠慮にかき乱す。

「く…」

ここ最近ヒーロー稼業が忙しく、自慰すらご無沙汰だった俺の体は意志を裏切って次第に熱を持ち始めた。

(くそ、なんで俺がこんな目に…)

振り払いたいのに満員の車内では満足に身動きすら取れない。
やがて調子づいた手が衣服の中へと侵入し、直接性器に触れてくる。
そしてもう一方の手は尻の穴を弄り始めた。

「…ッ…!」

ビクンと大きく体を震わせた俺を更に追い立てるように、それぞれの手の動きが激しくなる。

「…く、」

荒い息をこらえて俯く俺の顔は恐らく羞恥で真っ赤だろう。
いや、羞恥だけではない。
認めたくはないが、見知らぬ他人の手によって俺の身体は徐々に快感を拾い始めていた。

「あ、…」

(ヤバい…イく…)

キツく閉じた瞼の裏がチカチカと点滅を繰り返す。
先走りを零し始めた俺のモノを扱きながら尻の中を激しく抉られて、背筋を駆け上った快感に俺は呆気なく果ててしまった。
見知らぬ人物の手でイかされた屈辱と射精後の虚脱感がない交ぜになって一瞬、意識が飛びかける。
ギュッと収縮した尻穴が突き入れられた指を締め付けたらしく、俺を支えた誰かが耳元でフッと笑う気配がした。

「そんなに気持ちよかったですか?」

囁かれた声には覚えがあった。
なぜなら、自分はさっきまでそいつと一緒だったのだから。

「な…んで、おまえ…」
「次の駅で降りますよ」

モノレールが停車し、開いたドアから押し出されるようにして肩を抱かれた俺はホームに降り立った。
よろけた身体を支えられながら歩く姿はきっと、気分が悪い俺を連れが介抱しているようにしか見えないだろう。
やがて、俺は駅に設置されているトイレの一番奥の個室に連れ込まれ、便座の上に座らされた。
ご丁寧にガチャリと鍵を掛ける音がする。

「どういうつもりだ、バニー!」

そう叫んで睨み上げるが、目の前の若者は口元を歪めたまま笑みを崩さず、ただ俺を見下ろしている。

「あなたが好きだと、そう言ったでしょう?」

言っている意味が分からなくて、俺は眉をひそめた。

「あなたが僕の思いに応えてくれないからいけないんです」
「なっ…」
「でも、さっきのあなた淫らでしたよ。僕の手でイかされて」

ほら、と俺の精液がこびり付いた指先を舐めてみせるバニーにたまらず、目を逸らす。

「まさか、これで終わりだとか思ってないでしょうね」
「な…にを…」
「そろそろ続きを始めましょうか」

後ずさる俺に、冷たく微笑むバニーの手が伸ばされて…。

「これからあなたは、僕のものになるんです」
「…バニー…」
「愛してます、虎徹さん…」

―俺はアイツに捕まった。










※痴漢は犯罪です。



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