お仕置きシリーズ
□お仕置きタイム7(R)
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「虎徹さん、今夜は僕の部屋で飲みませんか?」
何気なく発せられたバーナビーの言葉に、虎徹は体を強ばらせた。
彼の自宅へのお誘いにはもれなくセックスがついてくる。
それが最近の二人の間での暗黙の了解事項だ。
「えっと、悪いけど今夜はちょっとムリ」
「…何か用事でもあるんですか?」
知らず詰問口調になるバーナビーの視線を避けるように虎徹はあさっての方向を見ている。
隠し事の出来ない人だと呆れながらも、バーナビーが追求の手を緩めることはない。
「あー、人と会う約束してんだ」
「誰です?」
「お前の知らない人だよ」
「仕事絡みですか?それともプライベート?」
「…だーっ、なんでお前にそこまで言わなくちゃなんないんだよ!」
執拗なバーナビーからの追求に虎徹がとうとう苛立ちの声を上げた。
その時だった。
ドンッ!という鈍い音がして、虎徹の体は勢いよくオフィスの壁に叩きつけられていた。
「…ッ、てーな!何すんだよ!」
「あなた、まだ自分の立場が分かってないようですね」
「…はな‥せ」
「また初めから躾し直さなきゃいけませんか?」
ああ、もっともあなたはお仕置きされるの好きですもんね、とバーナビーが耳元に唇を寄せて囁くと虎徹の頬は真っ赤になった。
「もう一度聞きます。今夜、誰と会うんですか?」
「……スポンサー企業の偉い人」
観念したのか、小さな声で虎徹が答えた。
「まったく、ほんとに学習能力がないな。今夜のことロイズさんは知ってるんですか?」
「‥そのロイズさんから頼まれたんだよ!俺のファンで会いたがってる人がいるってな!」
半ばヤケクソのように叫んだ虎徹に睨まれて、バーナビーは事の成り行きを理解した。
なるほど、ロイズはその偉い人とやらの下心も知らずに虎徹に接待を命じたのだろう。
今後このようなことが起こらないよう、彼にはくぎを差しておく必要があるなと考えながらバーナビーは虎徹の手を引き部屋を出た。
「ど、どこ行くんだよ?」
「もちろん、その接待とやらです」
意外な返答に、キョトンとした表情を浮かべた虎徹を見てバーナビーが話を続ける。
「ビジネスなら仕方ありませんから」
「‥いいのか?」
「仕事とプライベートを混同するほど、僕だって子供じゃありませんよ」
それに、とバーナビーの眼鏡の奥の目がスッと眇められる。
「夕食を食べるだけなんでしょう?」
「そうだ‥」
「それとも僕に内緒にしなくてはいけないような事情があるとか?」
「んなの、ねーよ」
立ち止まった虎徹が真っ直ぐな視線でバーナビーを見つめ返した。
「なら、どうぞ」
言いながら、バーナビーがその顔に浮かべたのは虎徹がゾッとするほど綺麗な笑みだった。
いつものようにアイパッチをしてスーツに身を包んだ虎徹は指定されたホテルへと足を運んだ。
ホテル内にあるレストランで名を告げればボーイがすぐさま、席まで案内してくれる。
予約専用らしいそのテーブルは人目に付きにくい場所にあり、それは今の虎徹にとっては有り難かった。
「どうも、遅れてすいません。ワイルドタイガーです」
アイパッチ姿の彼を見つけて立ち上がった男に、虎徹は小さく頭を下げた。
「いやあ、わざわざ来てくれてありがとう。会えてうれしいよ。」
前からファンだったという男は大げさにそう言うと握手を求めてくる。
「‥ありがとうございます」
照れ臭そうに笑って握手をし、促されるまま虎徹はイスに腰を下ろした。
その途端、ウッと呻いて顔をしかめる。
「どうかしたのかね?」
「い、いえ、なんでも‥」
どこか様子のおかしい虎徹に男は一瞬不審な目を向けたが、やがてコース料理が運ばれてくるとワイングラスを手に取り乾杯を始めた。
笑顔で会話を交わしながら、虎徹はただただこの時間が早く過ぎ去ることだけを願っていた。
「さあ、遠慮しないで食べてくれ」
「あ、はい」
出された料理にもあまり手を着けず、会話もどこか上の空の虎徹に男は眉をひそめる。
「もしかして、疲れてるのを無理して来てくれたのかい?」
心配そうに声を掛けられ、慌てて虎徹は首を横に振った。
「や、そんな訳じゃ‥ッあ‥」
否定の言葉を告げようとした虎徹はいきなりあらぬ場所から沸き起こった刺激に息を飲んだ。
微かな振動が次第に大きくなってくるのに、信じられない思いで唇を噛む。
「大丈夫かい?」
「は‥い。すいません…」
何とか声を絞り出しながら、膝の上で握り締めた手に力を込める。
出かける前にバーナビーに無理やり挿入されたローターが動き始めたのだ。
ワイヤレスリモコンタイプのそれは無線でスイッチのオンやオフ、振動の強弱さえも操作できる。
そのリモコンは今現在バーナビーの手の中にあり、それが動き始めたということは虎徹にとって辛いお仕置きの時間が始まったことを意味していた。
「やっぱりどこか具合が悪いんじゃ」
「いえ!ほんとに、なんでも‥」
「顔も少し赤いようだし熱があるのかもしれない」
そう言って伸ばされた男の手が虎徹の額に触れかけた瞬間、突然手首に付けられているPDAがけたたましく鳴り出した。
二人は同時にビクリと体を竦ませる。
『虎徹さん、聞こえますか?』
「バニー‥事件か?」
憎らしいほど普段通りの若者の声に、虎徹は怒鳴りつけそうになるのをぐっと堪えた。
その間も秘部に埋め込まれたローターの動きは止むことはない。
『いえ、会社からの緊急の呼び出しです』
振動を続ける機械の動きが激しくなり、虎徹は漏れそうになる声を必死に噛み殺す。
「‥ッ、わか‥った。すぐ行く」
ようやくそれだけを口にすると少しだけだが中の振動が弱まった。
ホッとして申し訳無さそうに目の前の男に視線を戻す。
男は黙って首を振った。
「仕事なら仕方ない。ディナーはまたの機会にしよう」
「すいません…と、あの、ごちそうさまでした」
深々と頭を下げ、席を立った虎徹は足早にホテルを出た。
このまま自宅に帰ろうかと考えていた虎徹の側に見慣れた派手な車が停車する。
「お疲れ様でした、虎徹さん」
「バニー‥」
「帰りましょうか」
助手席側のドアが開いて、笑顔のバーナビーが顔を出す。
労いの言葉をかけた彼の右手には虎徹に埋め込まれたローターのリモコンが握られていた。
「…んッ!」
バーナビーが右手を動かすと同時に虎徹の体が大きく震えた。
そのままガクガクと膝を震わせ、倒れ込みそうになるのをバーナビーは満足げに見つめている。
「ちゃんと入れたままにしてるんですね」
虎徹は顔を真っ赤にしたまま、何も言わなかった。
「さあ、乗って」
まるで魔法の呪文のようにバーナビーの言葉に逆らえず、震える体がのろのろと動き出す。
虎徹が助手席に乗り込むのを確認して、やがてバーナビーは静かに車を発進させた。
※久しぶりのお仕置きなのにエロがぬるくてすいません…
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