長編3

□STEP BY STEP(R)後日談
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「よ、よろしくお願いします」

バーナビーの自宅寝室ベッドの上。
向かい合って座った虎徹とバーナビーは、やや緊張した面持ちで視線を逸らしながら挨拶を交わしていた。

誘拐事件解決からほどなく、虎徹の回復具合を見計らってバーナビーが誘いを掛けたところ、虎徹は律儀に彼のマンションを訪ねてきた。
虎徹にしてみればバーナビーには借りがある。
もちろんそれだけが理由ではなかったが、それを口実にしなければいくら好き合った仲とはいえ、男と一線を越える勇気はさすがの彼にも湧いてこなかったのだ。

共にシャワーも済ませ、準備万端整ったところで冒頭のシーンへとさかのぼる。



「…あのさ、一つ確認しとくけど」
「何でしょう?」
「えっと、その、この場合俺とお前のどっちが女役なわけ?」
「…もちろん、虎徹さんですが、何か?」
「だよな…多分、お前そう言うだろうとは思ってたよ」

ガックリとうなだれた虎徹は力無く肩を落とした。

「…まあ、あなたがどうしても僕を抱きたいって言うんなら、ちょっとくらいは考えてみても構いませんけど…」
「……いや、それはそれでハードルたけーわ」

(ほんとに俺なんかで勃つのかよ?)

半信半疑で視線を下に落としてみればバーナビーのモノはすでに半勃ちで。
ギョッとした虎徹は思わず後ずさりかけた。

「…マジで?」
「じゃあ、遠慮なく」
「え、ちょ、」

先ほどまでの初々しさはどこへやら。
獰猛な肉食獣が獲物を見つけた時のように、瞳を光らせバーナビーは虎徹にのし掛かった。

「バニーッ…ん…」

重ねられた唇が痛いほど吸われ、舌が強引にねじ込まれる。
息苦しさに目を閉じ逃れようとすれば、頭の後ろを固定されさらに激しく口づけられた。

「…ん…ッんん…」

情熱的なディープキスに次第に体が蕩けてゆく。
ちゅぱ、と音を立て離れたバーナビーの唇が顎鬚をかすめ、首筋に沿って下りていくと虎徹は小さくその身を震わせた。

「好きです…虎徹さん…」
「あっ、バニーッ…」

やがて引き締まった褐色の胸にたどり着いたバーナビーは上目遣いに見上げながら、突起を口に含んだ。

「な…ッ、やッ!」

軽く歯を立てればまた体が震える。
その無意識の反応がバーナビーの劣情を煽りたてているなどと知る由もない虎徹は、ただただ彼の愛撫に翻弄されるばかりだ。

「…ッ…はぁ…」

もともと敏感な体質なのだろうか。
どこに触れても吐息を漏らす虎徹にバーナビーは目を細めた。
これ以上は我慢できないとばかりに密かに準備しておいたローションを手に馴染ませる。
そうして、尻の狭間に指を差し入れ優しく入り口に触れる。

「な、どこ触って…」

焦ったような声を上げ逃げを打つ彼に構わず、バーナビーはゆっくりと指を中に挿入した。

「…ッ、ば、バニー…ヒッ!」

狭い中はバーナビーの指をキュッと締めつけたが、ローションの滑りに助けられて痛みは感じていないようだ。

「虎徹さん…痛くはないですか?」
「…ん、痛みはねーけど、変な感じ…だ」

違和感を訴える虎徹がバーナビーを見る。
バーナビーは慎重に指を動かし後ろを解しながら、その反応を窺った。

「あっ!…ッ!」

突然、叫びとともに虎徹の体が浮き上がった。

「…ここ、ですか?」
「な…に…?」
(そこ、なんか変だ)

戸惑う彼の心の声が聞こえてくる。
クチュリと水音を立て抉るように動かせば、また虎徹は大きく体を震わせた。

「や…あッ!」
(やだ!そこ、気持ちいい…)
「ここ触ると気持ちいいんですね?」
「…ン…ちが…」
(ダメだ…ヤバい…)

嫌がる言葉とは裏腹に虎徹のモノはすっかり勃ち上がっている。

「何が違うんです?あなたのここは気持ちいいって涙を流してますよ」

バーナビーが逆の手で握り締めてやれば、彼の雄は辛そうに先走りを零し始めた。
いつも飄々として大人の余裕を崩さない虎徹の、普段の彼からは想像もつかない妖艶さにバーナビーは息をのむ。

「ハァ…あ…バニー…」

誰にも渡したくない。あなたは僕のものだ。
不意にこみ上げてきた感情は独占欲というものか…。
衝動のままにバーナビーは猛った自身を虎徹の後ろにあてがった。

「バニー…?」
(もうちょっとでイキそうだったのに…)
「すいません。もう少し時間をかけたかったのですが、僕が限界みたいです」

―僕と一緒にイキましょうね。

そう言いながらバーナビーはゆっくりと、虎徹の中に進入を開始した。



「…ふ…くッ…」
「虎徹さんッ」
「んんッ…ぁあ!」

肌がぶつかる乾いた音と水音に混じって、微かな喘ぎが聞こえる。
最初の衝撃は大きかったものの、虎徹の体はすぐにバーナビーを受け入れた。

「…はぁッ…ッぁ…ああ゛ッ…!」
(い、イキそう…)
「…遠慮なくイッてくださいね、虎徹さん…」
「や、はぁッ!あ゛…あぁッ…」
(イク!…イッちまう!)

バーナビーのモノでこれでもかと弱い部分を突かれ、虎徹は息も絶え絶えだ。
そして乱れる虎徹の姿を見てバーナビーの責めがまた激しくなる。

「くッ…!」

一際強く中を抉ったバーナビーが絶頂を迎え、動きを止める。
それに合わせたように虎徹もまた、体をビクビクと震わせながら精を吐き出した。



事後に訪れたまどろみと闘いながら、バーナビーは手早く虎徹の後処理をする。
きちんとコンドームをつけるはずだったのに中出ししてしまったのは誤算だった。
スマートさが売りの彼はそう心の中で反省する。

「けど、体の相性は抜群だな…」

ついニヤけて呟けば、虎徹が顔をしかめた。

「…ふざけんな。俺は死ぬかと思ったぞ」
「良すぎてでしょ?」
「……」

それは図星だったらしく、横を向いてふてくされる虎徹をバーナビーは抱き締める。

「好きです」
「ん…」

触れるだけの軽い口付けに虎徹は顔を赤くして目を閉じた。
Hの際に心の声がだだ漏れだったことはひとまず彼には内緒にしておこう。

(…これから毎晩楽しみだな)

そうバーナビーがほくそ笑んでいることなどつゆ知らず、虎徹は腕の中ですっかり眠りに落ちていた。






END

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