長編

□笑ってたいんだ
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ウロボロスという謎の組織の親玉であり、同じヒーロー仲間バーナビー・ブルックスJr.の両親の仇であるジェイクとの一戦に勝利してからというもの、にわかにタイガー&バーナビーのヒーローコンビの周囲は慌ただしくなった。
今日も今日とて、朝からグラビア撮影だのインタビューだのと秒刻みのスケジュールをこなしながら、こんなはずじゃなかったとワイルドタイガーこと鏑木・T・虎徹は深いため息を吐いている。
崖っぷちのヒーロー生活から一転、忙しい毎日は有り難かったがその大半がヒーロー本来の仕事とは程遠いものばかり。
彼の思い描くヒーロー像からかけ離れてゆく現状に、虎徹が戸惑いを覚えるのも無理はない。



その日もグラビア撮影を終え、廊下を歩きながら虎徹は終始、不機嫌だった。
「今日のあの水着撮影も何だってんだよ!」
水着で撮影と言うので緊張しながら向かった現場で渡されたものは水玉模様のずいぶんとレトロな代物で、彼のようないい大人が着るものではなかった。
出来ることなら記憶から抹消したいと、本気で思いながら虎徹は隣の相棒を見る。




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