長編

□笑ってたいんだ 6
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虎徹の体から光が失われたことにいち早く、バーナビーは気づいていた。
そして、男の一人が投げた物の正体にも。

(間に合うか!?)

ヒーロースーツを着用していても、今の虎徹はハンドレッドパワーが使えない。
まともに爆発をくらえば、恐らく無傷ではすまないだろう。

「虎徹さん!!」

身動きが取れずにいる虎徹へとバーナビーはめいいっぱい腕を伸ばした。

「やめろ!バニー!」

かろうじて、庇うように彼の体を抱き込むと、バーナビーは衝撃に備えて体中に力を込めた。
爆弾が炸裂し、閃光が走る。

「バニー!逃げろって!」
「いやだ!」

ああ、このままでは彼まで巻き添えを食ってしまう。

(俺がこいつの未来も、夢も奪ってしまうのか…)

ダメだ、それだけはダメだ。
虎徹は必死に彼の体を振り解こうとするが、バーナビーの力強い腕はビクともしない。

(頼む!もう誰一人、失いたくないんだ!)

「うおぉーー!」

全身全霊の力を込めた虎徹の叫びが天をつく。
やがて、再び光に包まれた彼の周りを防御するかのように見えない壁が二人を包み込み、爆風から彼らを守り抜いた。
爆音が辺り一帯に響き渡り、そしてまた静けさを取り戻す。

「…俺は…?」

見回すと、周辺の建物は爆発に巻き込まれ無惨な姿をさらしている。
男達の車も大破し、犯人達もまた血を流して倒れていた。

「大丈夫。こいつらも無事です」

犯人の安否を確認したバーナビーに声を掛けられ、虎徹はようやく我に返った。





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