長編
□しらじらと明けていく夜3(R)
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虎徹を乗せた車は静かに走り出し、やがてパーティー会場から遠ざかってゆく。
窓の外を流れる夜景をぼんやりと眺めながら、彼は懐かしい既視感に捕らわれていた。
(そういえば、こんな風に車に乗せられて何度もこいつの元に通ってたっけ…)
スキャンダルに繋がらないよう慎重に事を進めるこの男らしいやり方で。
「何を考えている?」
「…いえ、何も」
何も、と再度呟いた虎徹はシートに身を沈めゆっくりと目を閉じた。
「おじさんですか?僕は知りませんよ」
イライラした口調でロイズに虎徹の行方を聞かれたバーナビーは咄嗟にそう答えた。
バーナビーの勘だが、先ほど虎徹と共にいた男の事は触れない方が良さそうだと判断したからだ。
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