長編

□しらじらと明けていく夜6(R)
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掴んだ腕を離さないまま、バーナビーが冷たく笑った。

「ねえ、まだ帰れって言うつもりですか?」
「お前…なんで」
「コンビとして相手のことを知りたいと思うのは当然のことでしょう?」
「……」
「あなただって、そうやって僕に関わろうとしたじゃありませんか?」

まるで台本に書かれた台詞を読むかのように、感情のこもらない言葉がバーナビーの口から次々と溢れ出す。

「俺はただ、お前と上手くやってこうと」
「僕だってそうですよ!」

話しているうちに次第に苛立ちが込み上げてきたのか、珍しく声を荒げた相棒に虎徹は目を見開いた。

「…すいません。今のは嘘だ。ほんとはいつもウンザリしてたんですよ、あなたのお節介にはね」
「なら、なおさら帰ってくれ。マジで今はお前と話す気分じゃねえんだ」
「自分勝手な人だな、あなたは」

嫌みを込めてバーナビーが目を眇める。
と、いつもならしつこく食い下がるはずの虎徹の口から小さな溜め息が漏れた。
わずかにうなだれた彼の手が優しくバーナビーの腕を外させる。

「…悪かったな、今まで」


ポツリと告げられた謝罪はひどく心地が悪くて、バーナビーの苛立ちを加速させるばかりだった。

「お前にとっちゃ、確かに迷惑だったよな」

違う、そうじゃない。
咄嗟に否定の言葉が出そうになって、慌ててそれを飲み込む。

「これからはできるだけ、余計なお節介は焼かないようにするわ」

虎徹は寂しげに笑うと、話はこれでお終いだと言わんばかりに自宅のキーを取り出し、ドアを開けた。








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