長編
□しらじらと明けていく夜9
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アニエスからの指示に従い現場へと向かうダブルチェイサーでも無言のまま、重い空気を纏った二人はやがて現場へと到着した。
『いい?みんな、よく聞いて。犯人達には特殊なGPS装置が装着されている。今日のあなた達のお仕事は、こちらが割り出したGPSの位置情報から、素早く犯人を確保すること』
「何人かで別れた方がいいかしら?」
『それはこちらで指示するわ。じゃ、今夜も頼むわよ!』
アニエスの指示にそれぞれ、頷くと彼らは一斉に犯人確保へと動き出した。
「僕らも行きますよ、おじさん」
「わーってるよ!」
虎徹とバーナビーもまた、指示された二人の犯人達を追って走り出した。
犯人達が逃げ込んだとされる廃墟跡を二手に別れて探っていた虎徹は、前方に人影を見つけ、静かに後をつけた。
(仲間と合流するつもりなのか?)
彼らの能力に関する情報はまだ入ってきていない。
さすがに単独で行動するのは無謀かもしれないと、虎徹はPDAに目をやった。
(バニーに連絡を…)
その瞬間、体の奥から流れるドロリとした感触に思わず虎徹の動きが止まる。
男の残した汚濁が身の内にまだ残っていたのだと気付いた虎徹は一瞬、バーナビーへの通信を躊躇してしまった。
「この辺でいいかなあ」
その一瞬の迷いを見透かしたように、犯人の年若い男が笑いながら虎徹を振り返った。
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