長編
□しらじらと明けていく夜11
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同じ頃、バーナビーもまたジャスティスタワーを訪れていた。
少し前にユーリから連絡があり、直接会って話がしたいと言われたのだ。
勤務時間中のため、一応上司のロイズにそれを告げると意外にもあっさりと外出許可が出た。
「君も出来の悪い相棒を持って大変だね」とねぎらいの言葉を掛けられたところをみると、自宅療養中の虎徹に代わって呼び出されたとでも勘違いしたのだろう。
「まあ、コンビですから」
その方が都合がいいので訂正はせずに、司法局へと出向いたバーナビーは長い廊下を歩いていた。
ようやく目的の部屋を見つけ、立ち止まる。
コンコン、と指定された彼の執務室のドアをノックし、名を告げると
「どうぞ、お入り下さい」
と、物静かな声がした。
促され、中へ入るとユーリは奥のデスクで仕事に追われているようだった。
「急に呼び出したりして申し訳ありません」
「いえ、こちらこそ。お忙しそうなのに勝手なお願いをしてしまって」
「どうぞ、掛けて下さい」
言われるままに来客用のイスに腰掛けると、優雅な物腰でユーリは立ち上がった。
そして、デスクの引き出しから何やら資料を取り出し、バーナビーのもとにやってくる。
「頼まれていた男の件ですが…」
ユーリもまたバーナビーの目前に腰掛け、声を潜めた。
「キング・マートン、彼の裏の顔は相当悪辣なようですね。なかなか尻尾が掴めずに苦労しましたよ」
手渡された資料にざっと目を通すと、バーナビーは端正な顔を曇らせた。
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