長編

□しらじらと明けていく夜13
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あれからすぐに、医者も驚く回復力で怪我を完治させた虎徹はヒーロー業に復帰した。
そして、ワイルドタイガー不在の間、淡々と仕事をこなしていた仲間達も皆一様に彼の復帰を喜び、その存在感の大きさをバーナビーは嫌と言うほど思い知らされていた。




「じゃーな、バニー」
「では、また明日」

その日は特に出動要請もなく、定時に上がった二人はアポロンメディア社の玄関口でそれぞれ帰路につく。
変な愛称で呼ばれることには今だ違和感を感じているバーナビーだが、そう呼ぶのが彼だけだと思うとそう気分は悪くなかった。

(本当に僕は変わってしまったな)

虎徹を自宅に送り届けたあの日の、バーナビーの問いかけに対する彼の答えはまだない。
男との関係を断ち切って欲しいとは伝えたが、それを決めるのは虎徹だ。

(それでも、僕の一言がそのきっかけになればいい)

誰かを想うということは、こんなにも人を変えるのかとバーナビーは改めて己の変わりように苦笑した。





自宅に帰り着き、いつものようにリビングのソファーに腰を下ろすとパソコンの電源を入れる。
習慣となっている情報収集のため、画面に目をやると不意にテーブルの上の携帯が震えだした。
着信相手を確認してバーナビーは首を傾げた。

(おじさんから?)

さっき別れたばかりの虎徹がどうやら電話をかけてきたらしい。
何か急用でも思い出したのだろうかと、慌ててバーナビーは通話に出た。









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