捧げものと企画文
□衝動に身を任せた
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「よーし、バニー!今日は思いっきり甘えてもいいぞ!」
「…いきなり何なんですか?気色悪い」
(突然何を言い出すんだ?このオジサンは。猛暑続きで、とうとう頭が沸いてしまったんだろうか?)
そんな思いがつい顔に出てしまっていたらしい。
オジサンは僕の冷たい態度がお気に召さなかったようで、年甲斐もなく拗ね始めた。
「…なんだよ。せっかく俺がいつも頑張ってるバニーちゃんをいたわろうと思ったのに」
「……」
「昨日からいろいろ考えてたんだぞ…」
「……」
ああ、面倒くさい。
だからそんなお節介は必要ないって、常日頃から口酸っぱくして言ってるじゃないか!
「…そうだよな。俺なんかがバニーの癒やしになれるわけないよな」
「……」
言いながら、チラチラと伺うような視線がこちらに向けられる。
その申し訳無さそうな顔を見ていると、何だか自分が悪者になったような気になる。
僕のせいか?僕が悪いと言うのか?
「急に変なこと言ってごめんな」
「…ッ!」
苦笑いし、力なくうなだれたオジサンを見ているうちに、ふと胸の中がザワザワと騒ぎ始める。
変だな?何だろう、今、胸がこう…キュンときた。
(って、バカな!?相手はオジサンだぞ?)
軽く咳払いし、気持ちを落ち着かせてから僕はオジサンに尋ねてみる。
「あの、一応聞きますけど、何で急にそんなこと言い出したんです?」
「ん?ああ、理由か?」
「ええ。別に今日は僕の誕生日でもないですし…」
いろいろ考えてみたが、なぜオジサンがそんな突拍子もないことを言い出したのか、僕にはさっぱり見当もつかない。
「だってさ、今日はバニーの日だろ?」
「は?」
彼の答えは僕の想像のはるか斜め上をいっていた。
「ほら、今日は8月21日だからバニーの日」
少しでも罪悪感を感じた僕がバカだった。
オジサンがこういう人だってことはよく分かってたはずじゃないか。
ニッコリと嬉しそうに笑う彼に、きっと悪気はない。
「…で、どう甘えさせてくれるんです?」
オジサンはヤケクソでそう言った僕をいきなり引っ張り寄せ、ギュッと抱き締めた。
同じ男であるオジサンの体は、女性のような柔らかさはないけれど。
何だろう?また胸がざわつく。
(これって、甘えてるっていうのか?)
きっと問いただせば、「ハグすると癒されるんだぜ」とか何とか答えが返ってきそうだけど。
(あいにく僕はそんなことで満足するほど子供じゃないんです)
覚えのある熱が下半身から上がってきて。
「…あなたが先に誘ったんですからね」
「へっ?あの…バニーちゃん?」
なんか当たってるんですけど、と情けない声を出すオジサンにニヤリと笑う。
「ちゃんと責任取って下さいよ」
そうして僕は、自然と沸き起こった衝動にその身を任せた。
※この後、妙に意識し始めてくっつく二人とか(笑)バニーの日は初めて二人が結ばれた日とかになったら萌える。
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