長編

□しらじらと明けていく夜2
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(あれは…?)

バーナビーはざわめきの中、珍しく怒気を含んだ 虎徹の声に振り返った。
一人の見知らぬ男が馴れ馴れしく自分の相棒に話し掛けている。
視線を虎徹に移すと、苛立ちを露わにした彼の肩を抱いて男がテーブルを移動しようとしているのが目に入った。

「気になりますか?」

不意に背後から掛けられた声にバーナビーはきつい目を向ける。

「男はキング・マートン。不動産業を営む会社のオーナーで表立ったスポンサー活動はしていないようですが、何かと裏でヒーローTVにも便宜を図っているようです」
「…あなたは確か」
「申し遅れました。私はユーリ・ペトロフ。司法局の者です」
「僕の相棒のおじさんがいつもお世話になっているようで」

バーナビーの言葉にユーリは静かに笑みを浮かべた。
長い髪を後ろに束ねた独特な風貌は柔らかい物腰とは相反して、バーナビーに警戒心を抱かせる。

「プライバシーに関する情報をそんな簡単に第三者に教えてもいいんですか?」
「これは手厳しいな。私はヒーロー管理官の仕事も兼ねています。何かあればいつでも相談に乗りますよ」
「覚えておきます」

会話を終え、ユーリが立ち去るのを見届けたバーナビーが慌てて虎徹と男の姿を探す。
が、どれだけ人込みを目で追っても二人の姿を見つけ出すことは出来なかった。






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