短編

□僕らのSex Life(R)
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「最近マンネリだと思いませんか?」
「なにが?」
「僕らのセックスです」
「ブーッ!」

本日の仕事を終え、誘われるまま相棒であるバーナビーの自宅でくつろいでいた虎徹は飲みかけのワインを盛大に吹いた。

「汚いな」
「お、お前が急に変なこと言うからだろ!」

濡れた口元を拭いながら、目の前のハンサムな顔をじっと見つめる。
彼の目が冗談を言っているようには思えなくて、少し後ずさった。
相棒だったはずのこの若者が恋人へと昇格したのはいつだったか…。
すぐに飽きるだろうとの 虎徹の予測を裏切り、体を繋げる関係はズルズルと続いている。

(しかも俺が抱かれてんだもんなあ…)

バーナビーの指摘通り、自分の勘はやはり当てにならないらしい。

「はあー、別になあ」

盛大な溜め息をこぼした虎徹を見て、バーナビーの眉がピクリとひそめられた。

「真面目に考えて下さい!僕とあなたは恋人どうしなんですよ!あなたが気持ちよくならなければ僕の独りよがりになってしまう!」
「ちょ!ちょっとタンマ!バニー、んなこっ恥ずかしいこと真顔で叫ぶな!」
「セックスも恋人達に必要な儀式です!」
「…だーかーらー、俺は別に」
「というわけで、ちょっとした小道具を買ってみました」
「…お前さー、俺の話聞いてないだろ」
「今夜さっそく試してみましょう」
「…帰りたい」

盛り上がってしまったバーナビーに首根っこを掴まれ、寝室へと引きずられながら虎徹は自らの迂闊さを呪った。



ベッドの上に投げ出された虎徹の体から、手際よく衣服が剥ぎ取られてゆく。
自分もまた全裸になると、バーナビーは滑らかな虎徹の太腿に指を滑らせた。

「解しますから足を開いて」
「……」

逆らっても無駄なことは今までの経験から学習済みだ。
羞恥にさいなまれながらも膝を立て、足を開くとバーナビーがその間に割って入った。

「力抜いてて下さいね」

言うやいなや、ローションまみれの指がゆっくりと虎徹の中に押し入ってくる。
恥ずかしさのあまり顔の上で交差させた両手はバーナビーが外させてしまった。

「ヨガるあなたの顔が見たいんです」
「‥変態‥ッ」

ぬぷぬぷと出入りする指の本数が増える度、虎徹は圧迫感に声を詰まらせる。

「アッ…!」

不意にドクンと鼓動が高鳴る。
今までにない体の熱さを感じて、虎徹は咄嗟にバーナビーを見た。

「な…に‥?」

眼鏡越しでないグリーンの瞳が意地悪い光を帯びて、虎徹を視姦する。

「言ったでしょう?気持ちよくさせるって」
「まさか…くす…り?」
「合法的なものですから心配いりません」

途端に下腹部を襲った激しい快感に虎徹はビクビクとその身を仰け反らせた。

「はッ、あ‥アァッ‥!」

後ろを弄られているだけだというのに虎徹のペニスはすっかり勃ち上がっている。

「そうだ、これも試さないと」

バーナビーはそう言うと指を引き抜き、そこに細身のアナル用バイブをあてがった。

「ヒィッ!」

ズブリと突き刺すと虎徹は嬌声を上げ、呆気なく最初の絶頂を迎えた。

「ハァ‥は‥アァッ‥」

媚薬の効果か、イったばかりなのにバーナビーがバイブを少し動かしただけで再び、虎徹のペニスは頭をもたげ始める。

「バニー、や…め‥」
「オジサンのウソつき。気持ちいいくせに」

乱れる恋人の表情を楽しみながら、バーナビーはゆっくりとバイブのスイッチをオンにした。


「あァッ!ンッ‥やぁだ‥また‥イク‥イクッ!」

あれから何度達したのだろう。
バーナビーの右手に翻弄された虎徹の腹は自らの精液まみれになっている。

「はぁん‥あ‥あ‥、また‥クる‥」

恍惚とした表情を見ているバーナビーの胸の中で、モヤモヤとした感情がくすぶり始めた。

「…そんなに気持ちいいんですか?」
「ん!…いい‥きもち‥いい」

潤んだ瞳はバーナビーを見てはいない。

「オジサン!」
「バニー?…ア、あァッ!」

苛ついた気持ちでバイブを抜き去ったバーナビーは一息にペニスを突き刺した。
そのまま激しく腰を抜き差しする。

「んな…はげしく‥たら‥こわれ」
「喋ってると舌噛みますよ」
「んん!んぅ…!」

噛みつくように重ねられた唇の熱さに、虎徹はただ、翻弄され続ける。
少しでも、彼の不安と苛立ちを紛らわせようと広い背中にまわされた虎徹の腕に、バーナビーは薄く微笑んだ。


「…で、結局お前さ、何がしたかったんだよ?」
「あなたとなら、なんでも」
「答えになってねえんだけど」

不機嫌な口調だがその言葉に拒絶の色は見つからない。

「あなたがそんな風にお人好しだから、僕は時々勘違いをするんです」
「…」
「イヤならそうと、」
「勘違いしとけばいいだろ。俺だって同じだから」
「それって…」

バーナビーの口元が緩む。
初めて、手に入れた絆は温かく、そして気持ちよかった。

(さて、今度はどんなことして楽しもうか?)

バーナビーの中に潜む天使と悪魔を虎徹は知らない。




※ヤンジャンの読み切りに触発されました(笑)バニーのセリフとか‥ね。

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