長編

□君と歩きたい
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「ねえ、知ってます?」
「ん?」
観念したように窓の外の景色に目をやる虎徹にバーナビーが語りかける。
「街の色って変わるんですね」
「そうなのか?」
「あの事件以来、今までと景色が違って見えるっていうか、復讐の為に生きてきた頃とは別物みたいなんです」
「ああ、お前の言いたいこと何となく分かるぞ」
「変えたのはあなたです」
「俺?」
「ええ、あなたが復讐心に凝り固まっていた僕を変えた」
ハンドルを握るバーナビーの口元がわずかに緩む。
「んな大層なこと、しちゃいねーよ」
照れ臭そうに右手をヒラヒラさせる虎徹にバーナビーはフッと笑みを零す。
「まったく最初は大嫌いでしたよ。コンビだとか相棒だとか言って僕のプライベートにまで口を挟んでくるし、鬱陶しくてたまらなかった」
「…わ、悪かったな」
「でも、あなただけだった。そんな風に僕に接してくれたのは」
「バニー…」
「あなたは僕に信じてくれと言いましたね。だから、今度は僕の番です」
前の信号が赤に変わり、車が減速する。
ブレーキを踏み込み停車させると、バーナビーは虎徹へと向き直った。

「僕を信じて下さい。僕らはコンビなんでしょう?」
「…!?」
「僕は今さら、あなた以外の相棒なんて認めたくはありません」
唇を噛んだ虎徹は涙を隠すように肩を震わせ、俯いた。
「…俺だって」
言葉を詰まらせ、虎徹は再び窓の外へと視線をやった。
「着いたら、全部お前に話すよ」
重い沈黙に包まれたまま、車はただ静かに走り続けた。




※見終わった後に全力で妄想して書き上げた。で、結局おじさんは能力減退と…。そっちのが切ない(;_;)
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