長編

□笑ってたいんだ 3
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結局まんじりともしない夜を過ごした虎徹はバーナビーのベッドではなく、リビングで朝を迎えた。

「おはようございます。珍しく早いですね」

ガチャリとドアが開いてバーナビーが顔をのぞかせる。

「あ、ああ。ちょっと眠れなくてな。シャワー借りたぞ」
「かまいません。それより、朝食はどうします?」

昨夜の彼の言葉の意味を問い詰めたい衝動に駆られながらも、バーナビーは努めて平静を装った。

(きっと今聞いたところで答えてはくれないだろうし)

他人の不安や悩みには敏感なくせに自分のことには無頓着なのだと、この数ヶ月を共に過ごしてイヤと言うほど思い知っている。

「出社途中で何か食べていきましょうか?」
「うーん。そうすっか」
「じゃ、僕もシャワー浴びて着替えてくるんでちょっと待ってて下さいね」
「りょーかい」

おどけたような口振りで右手を上げた虎徹の目の下の隈に気づいて、バーナビーはそっと眉を寄せる。
静かにドアを閉め、背中を預けるとゆっくりと大きく、溜め息を吐いた。




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