長編

□笑ってたいんだ 4
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顔色を無くしたバーナビーを見て、虎徹の胸がキリリと痛む。

(だから、言いたくなかったんだ)

自分の痛みなら幾らでも耐えられる。
だが、この若い相棒が自分のためにツラい思いをするのは虎徹にとって、何より耐え難かった。

「…あなたは」
「ん?」

ようやく絞り出した声は普段の彼からは信じられないほど、弱々しかった。

「あなたはどうするつもりなんですか?」
「俺?俺は、そうだなあ。俺はヒーローやるしか取り柄がないからな」

嘘を許さないまっすぐな瞳が虎徹を見つめている。
誠実さには誠実さで応えねば、と虎徹もいつになく真剣な表情を崩さずにバーナビーを見返した。

「正直、迷ってる」
「迷う…?」
「そりゃ、体張った仕事だし、いつかは、って覚悟はしてたさ。けど、それは今じゃない」

虎徹の言葉の意味をはかりかねて、バーナビーは次の言葉を待つ。

「もう少し、お前と一緒にヒーローやってたいんだ」
「それって…」

言外に含まれた虎徹の思いがバーナビーにもようやく伝わった。

(また、お前を一人にしちまうから…)

「こんな時にまで僕の心配ですか!」
「バニ一…?」
「僕なんかのことより、自分の心配をして下さい!あなたにとってヒーローってのはもっと大事なモノのはずだ!」

一息にまくし立てられて、呆気に取られたようにバーナビーを見つめていた虎徹だったが、やがて困ったような笑みを浮かべた。





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