長編
□笑ってたいんだ 5
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ヒーロースーツに身を包んだ虎徹とバーナビーが現場に到着すると銀行周囲には警察による規制がしかれ、大勢の野次馬が人だかりを作って経緯を見守っていた。
キング・オブ・ヒーローことスカイハイ達も爆弾を所持しているという犯人達に迂闊に手が出せず、銀行内部を遠巻きに見守っている。
「遅いぞ」
ロックバイソンに声を掛けられ、慌てて虎徹は彼の側に駆け寄った。
「すまん、すまん。で、中の様子はどうなってる?」
「犯人は若い男の三人組だ。銀行強盗のつもりが逃げ損なって立てこもったってところか」
「ったく、さっさと金奪って逃げてりゃ今頃ふん捕まえてたのにな」
「バーナビーがか?」
「…うるせーよ」
その時、銀行の中からガラスの割れる音と女性の悲鳴が聞こえてきた。
「人質は何人だ?」
「恐らく、行員含めて20名近く…」
「くそっ」
舌打ちと共に動き出そうとした虎徹はバーナビーによって行く手を遮られた。
「おい、バニ一」
「突っ込むのは無謀過ぎます。人質の安全を考えて下さい」
「しかしだな、」
「人質のいる銀行内部での犯人逮捕はリスクが大きすぎるし、中継だってやりにくいでしょう?」
焦る虎徹と正反対にバーナビーは余裕の表情で、そう告げる。
「なんか、策があんのか?」
「犯人達をおびき出してもらうようアニエスさんに頼みました。逃走ルートが確保されたのなら、彼らがあそこに立てこもる意味はなくなる」
「なるほどな…」
ほどなくして銀行入り口前に逃走用車両が準備され、現場はにわかに慌ただしい空気に包まれ出した。
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