長編

□笑ってたいんだ 5
3ページ/3ページ



やがて中から人質の女性一人を連れた三人の男達が姿を現した。
各自、手に銃や爆弾らしきものを持ち、辺りを警戒しながら車に近づくと素早く乗り込んでゆく。
最後の一人が人質と共に乗り込もうとした時、一陣の風が巻き起こり一瞬、男に隙が出来た。

「今だ!」

スカイハイの起こした風に乗じて能力発動した虎徹は人質の女性を奪い返す。
そして男は同じく能力を発動させたバーナビーによって、確保された。
喝采が沸き起こる中、残りの犯人達を乗せた車がいきなり走り出した。

「俺達はあいつらを追う!あとのもんは銀行内部の人質救出と爆弾が設置されてねえか、手分けして調べてくれ!」
「分かったわ。逃がしたら承知しないわよ」

ウィンクを寄越すファイヤーエンブレムに親指を立て、虎徹はバーナビーの待つサイドカーに飛び乗った。

「さて、これで思う存分に暴れられるな」
「…あまり無茶はしないで下さいよ」
「あれ〜?おじさんが心配?」
「賠償金の心配です」
「あっそ」

軽口を叩きながら犯人達の車を追う。
能力が切れるまでにケリをつけねばとスピードを上げた二人は車を袋小路に追い込み、停車させた。

「さあ、もう逃げられないぞっと!うぉっ!」

車から降りた二人組がいきなりマシンガンをぶっ放し、慌てて虎徹は背後に飛び退いた。

「くそっ、くたばれ!」

男の一人が二人に向かって何かを投げ、車の陰にしゃがみ込む。

(あれは!?)

小型爆弾だと気付いた虎徹の体から、発光は消えていた。




続く
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ