長編
□しらじらと明けていく夜2
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「いいのかね?タイガー、まだパーティーは終わっていないんじゃないかね」
会場を出て長い廊下を歩きながらずっと、虎徹はどうするのが最善なのか、己の取るべき行動を考えていた。
「君の相棒のバーナビー君にも紹介して欲しかったのに」
「…あいつは関係ない」
「ああ、君が賠償金をネタに私の愛人をしていたってバレちゃマズいか?」
「……」
「しかし、彼は綺麗な顔立ちをしているね」
マートンの挑発的な言葉に立ち止まった虎徹が彼を睨みつける。
「バニーには手を出すな!」
「ほお…それは麗しいコンビ愛かな?」
「何とでも言えよ。とにかく、あいつには一切関わらないと誓え」
琥珀の瞳にねめつけられたマートンが冷ややかな視線で虎徹を見下ろす。
「相変わらず、口の聞き方がなってないようだ。それが人にものを頼む態度かね」
クッと唇を噛んだ虎徹はゆっくりと頭を下げた。
マーベリックの庇護化にあるバーナビーに危害が及ぶことはまずないだろう。
だが、この男の冷酷非情な顔を自分はイヤと言うほど知っている。
望むものを手に入れるためなら彼は手段を選ばない。
「お願いします。バニーには手を出さないで下さい」
「ついてきなさい」
マートンはエレベーターに乗り込むと、後に続く虎徹の姿を確認して1階フロアーのボタンを押した。
扉が開き、玄関を出るとそこには黒塗りの車が一台ドアを開いて二人を待っていた。
「選んだのは君だ」
先に乗り込んだマートンが虎徹に手を差しのべる。
「昔のように楽しもう。ワイルドタイガー」
悪夢の始まりを告げるかのように男はうっすらと笑いかけた。
続く