長編

□しらじらと明けていく夜6(R)
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(彼は今、何て言った?もう、自分にかまわないとそう言ったのか?)


それは個人のプライベートを尊重するバーナビーにとって、喜ばしいことのはずだ。
なのに、この胸にわだかまる重苦しい気分は何なのだろう。
いつも問題解決は冷静沈着に、合理的に行ってきたはずのバーナビーを衝動が突き動かす。

玄関の中に入ろうとする虎徹の背中を押し込むと、バーナビーは自分もまた中へと滑り込んだ。
そして、振り返った彼が叫び出す前に素早くドアを閉め、そのままリビングになだれ込む。

「バニー!おまっ…」

既に体力を使い果たしていたらしく、虎徹の抵抗は無いに等しい。

「確かめるって言ったでしょう?」

自分でもひどく冷たい声色だとバーナビーは思った。
カチャカチャと忙しなくベルトを外し、下肢をさらけ出させると虎徹はキツい瞳で自分を見下ろす相棒の青年を睨み上げた。

「そんなコワい顔しないで下さいよ、先輩」
「そんなに…」

バーナビーの指が尻の狭間に差し入れられる。
ビクリと体を震わせた虎徹が言葉を続けた。

「そんなに、俺のことが嫌いなのか?」

一瞬、動きを止めたバーナビーが困ったように首を傾げる。

(処理できないこんな感情、僕にだって理解できないのに)

「…どう、なんでしょうね」
「……」
「あなたはどう思います?」


バーナビーの問いに少し潤んで膜を張った琥珀の瞳が戸惑うように揺れて、やがて静かに閉ざされた。







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