長編

□しらじらと明けていく夜7
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「言っときますが、僕はあの人みたいなお節介な人間は嫌いです」
「…まあ、アレは確かにちょっと暑苦しいわね」
「そろそろ行かないと。お役に立てず申し訳ありませんが、これで失礼します」

一礼して歩き出したバーナビーの背に、ネイサンの声が飛ぶ。

「ねえ、ハンサム!あんまりタイガーを追い詰めちゃダメよ。ああ見えて彼、ホントは脆い人間なんだからね」
「……」

立ち止まらずに歩き続けるバーナビーの胸に苦いものが込み上げる。
その忠告はあまりにも遅すぎた。

「…もう、手遅れかもしれないな」





自嘲の笑みを浮かべると、彼は携帯電話を取り出した。
目的の番号を押すと相手が出るのをしばらく待つ。

「すいません、アポロンメディア社のバーナビー・ブルックスJr.です。司法局のユーリさんに連絡を取りたいのですが」
『少々お待ち下さい』

電話の向こうから女性の声がする。
保留音を聞きながら、バーナビーは改めて出会ってから今までの虎徹とのやり取りを思い返していた。


(そう言えば彼のお節介は口で言うほど嫌いじゃなかったな)


だがもう、あの頃には戻れない。
自ら壊してしまった彼との絆の大切さを今更ながらに思い知らされて、バーナビーはらしくなく深いため息をついた。









続く
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