捧げものと企画文

□2012 バニー誕企画
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「年下の生意気な彼のセリフ」



1.馬鹿にしてるんですか



ほんの少しの緊張を滲ませ、社長室のドアをノックする。
失礼します、と告げて中に入ると満面の笑みを浮かべたマーベリックさんが僕を迎え入れてくれた。

「司法局から正式に認可が下りたよ。おめでとう、バーナビー。これで君もヒーローの仲間入りだ」
「ありがとうございます、マーベリックさん」

これで両親を殺した犯人の手掛かりに一歩でも近づける。
ヒーローになれたことよりも、僕の頭の中は復讐への第一歩を踏み出せた喜びで一杯だった。

「ただし、君にはコンビを組んでもらうことになる」
「コンビ…ですか?そんなの必要ありません。僕は一人でも十分やっていけます」
「もちろん、それは分かっている。だがしかし、話題性というものも大事なんだよ」
「ですが‥」
「注目が集まれば集まるほど、君の両親を殺害した犯人も見つけやすくなる。そうだろう?」
「……」

マーベリックさんはどう言えば僕が反論出来ないか、心得た上で話を振ってくる。
彼の口から出た言葉は絶対で、僕に拒否権というものは存在しない。
もとより、マーベリックさんには幼少の頃から世話になっているし、彼に逆らうなんて考えたこともないんだけどな。

「…社長命令だと言うのなら従います」

ささやかな抵抗を込めてそう言うと、彼は笑みを浮かべたまま何も言わなかった。
そうして僕はニューヒーローコンビ「タイガー&バーナビー」としてアポロンメディア社から華々しいデビューを飾り、ワイルドタイガーこと鏑木・T・虎徹と巡り会った。

そして…。

例えコンビを組まされたとしても何ら影響はないと安易に考えていた僕の復讐へのシナリオは…。

「おはよう、バニーちゃん!ちゃんと朝飯食ってきたか?」
「…何度言えば分かるんです?僕はバニーじゃない!バーナビーです!」
「んな怒んなよ〜」
「あなた、僕を馬鹿にしてるんですか?」

このお節介な、古臭いオジサンヒーローとの出会いにより、見事に狂い始めた。







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