小説

□海と太陽
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雲ひとつない真っ青な空
これ以上ない快晴である

絶え間なく降り注ぐ太陽の光
船につけられた国旗が
風を受けてひらりと翻った

「今日はムカつく位快晴やんなぁ
風もええし。」

羽織っただけの真紅のコートが
音を立ててはためく

ブーツの音を響かせて現れた
褐色の男は
翠色の瞳を細めて
甲板へと現れた

紅を纏う彼は
帽子を風に飛ばされぬよう
押さえつつ空を見上げた

透き通る様な青は何故だか
ムカつく人物を連想させ

眉間にシワをよせた

「なんや…」

知らず知らずの内に
顔を合わせて喧嘩することが楽しみになりつつある自分を見つけ
苛立ちを隠すために
持っていた斧を構えなおした

「親分、また船が来とるで」

船員が声を荒げる

「またアイツか」

溜息をつきつつ
心が喜びを感じている

「あっちが喧嘩売るまで待ってな」

彼は近くに手ごろな場所を見つけると

ドカリと座りこんだ

照りつける太陽は
自分に
そして自分の国であるスペインに
よく似合っている

 
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