NOVELS

□にゃんにゃんぴょんっ!
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※兎虎できてます



「おおっと!タイガー&バーナビー!今日も息の合ったコンビネーションで、華麗に犯人を逮捕だぁ!」
「……ふぅ」

HEROTVの生放送終了後。いつも通り銀行強盗を捕まえた虎徹とバーナビーは、ヒーロースーツを斎藤さんに返すため、トランスポーターに向かっていた。

「あー、疲れた疲れた」
「アニエスさんの話では今日の犯人、何かのNEXTだって聞いてましたけど……一体何だったんでしょうね?」
「あー……さあな。そんなことより、さっきっから頭痛くってさぁ」

虎徹はバーナビーと並んで歩きながら、ふと後頭部を押さえる。それを聞いて、バーナビーは隣の虎徹の顔を見遣った。

「あ、それ僕もです。全然、大したことはないんですけど」
「あ、ホント?そう俺も、そこまで痛いって感じじゃないんだけど、なーんかこう……」
「頭の後ろの辺りを、押しつけられてる感じ、ですか?」

バーナビーも虎徹と同じ所を触りながら、自分の症状を訴える。感じていた事をずばり言い当てたので、虎徹はバーナビーに人差し指を立てて同意した。

「そう!そんなん!」
「2人同時に同じ部分を……もしかして、さっきの犯人の能力、ですかね?」
「まじで?頭の痛くなるNEXTとか?」
「はは、何ですかそれ」

しかし、そこまで深刻な痛みでは無かったため、2人ともそれについて深く考えようとはしなかった。





トランスポーターに到着すると、所定の場所に置くため、2人はヒーロースーツの頭部に手をかけた。

「ん、しょっと………あれ?メット取ったら」
「痛みが……消えた?」

マスクを取ると、ふうっと息をつく。すると途端に頭の痛みが引いたので、お互い顔を見合わせた。

「一体、何だったんだろうな?」
「さぁ……もしかして、スーツがきつくなってるんで
!?わっ、あああああっ!!!?」
「な、何だよ急に……ってう、わああっ!!?ど、どうしたんだよおまえっ!」

隣を見ると、相棒があられもない姿になっていた。悲鳴を上げるのも無理はない。なぜなら、人間の頭には無いものが、お互いピョコンと生えていたのだから。
2人は合わせたように、お互いを指差し、声を揃えて叫んだ。

「何なんですか!」
「その、」
「「耳っ!!!??」」





***






「……今、アニエスさんに確認しました。やはり、今日捕まえた男の能力のようです」
「やっぱりか……つか、何なんだよコレ……」

30分後。アンダースーツから私服に着替えるため、2人は会社のロッカールームにいた。こっそり帰って来たとはいえ、会社に戻るまでに誰とも会わなかったのは、彼らにとってほとんど奇跡だった。

「俺には虎の、バニーにはウサギの白い耳と尻尾って……意味わかんねぇし」

そう、2人の頭には、明らかに人間のものではない耳がピョコン、と生えていた。
先程の頭痛の原因は、どうやらその生えてきた耳が、ヒーローマスクに押し込められていたためらしい。そしておまけにお互いの尻には、黄色くて長い虎柄と、白くて丸いふわふわの尻尾が、それぞれ当然のように生えていた。

「人間を動物に変えてしまうNEXT……でも、それにしてはあまりに不完全な……」
「あーもう!そんな事よりどうすりゃいいんだよ!?」
「……セオリーからいくと、1日経てば元に戻るはずです」
「何のセオリーだよ」
「主に二次創作です」
「はぁ?んだそれ……」

訳のわからない事を言うバーナビーに、虎徹はため息をつく。
ふと冷静になって、ウサ耳姿のバーナビーを見ると、虎徹はぶっ!と吹き出した。

「な、なんですか」
「つかバニーちゃん、ウサ耳って……ぷぷっ、かっわいー!」
「……かわいいとか言わないでください。元はと言えば、あなたがバニーなどと呼び始めたのが原因でしょう」
「なっ、俺のせいかよ!」
「大体貴方だって、その猫耳、とてもお似合いですよ」
「猫耳じゃねぇ!俺のは虎耳だっ!」

虎徹はむっとした表情で、バーナビーをきっ、と睨みつける。そこで初めて、バーナビーは半獣状態の虎徹を直視した。
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