NOVELS

□家兎5
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※R-18です!
※ちょっとだけレイプっぽいのからの流血的な表現があります!ご注意!




うさうさ編

「バニーは寂しいとウサギになっちゃう!!」

という事実を知った虎徹は、とりあえず自分のいない昼間、肉体改造に取り組むようバーナビーに命じた。
ガリガリの体をどうにかさせるため、しかし外には出られないバーナビーのために室内用のトレーニングマシンを用意――したのではなく、昔衝動買いし、そのまま押し入れに文字通り押し込まれたマシン達を引っ張り出してきた。

「使った跡がない……」
「うるへー!」

初日は3kgのダンベル体操でさえ息を切らせていたバーナビーだったが、天性の体質か、または本人の努力か、彼は鍛えれば鍛えるほど驚異的な速さで逞しくなっていった。腹筋、腕立やスクワットといった筋トレを毎日欠かさず行い、ランニングマシンで持久力もついてきた。
最初は不承不承で始めた本人も、筋肉痛を乗り越えてからは少しずつ楽しくなってきたようで、これまた虎徹が昔買って放置してあった『効果的な身体の鍛え方』的な本を、暇さえあれば読み耽っている。
運動量と比例するように、当初はダイエット中の女子かよ位だった食事の量も、一般成人男性並みのカロリーをどうにか摂取できるようになっていた。

まるで我が子の成長を見ているようで、虎徹は本当に嬉しかった。
本来は自分が仕事で居ない昼間、彼が寂しがらないようにとトレーニングをさせ始めたはずだったのだが、残念な事に虎徹が帰宅する度にウサギ&全裸になる癖(?)は努力の甲斐も無く常習化していた。虎徹も虎徹で、まあ誰に迷惑をかけるでもないし、別に良いかぁ〜といつものように楽天的に考えていたので、もはや完全に帰宅時の習慣になっていた。
しかしながら、相変わらずバーナビーは無愛想だし、プライドは高いし、とにかく性格的に面倒くさい。
しかも頭の回転が速くて口が上手い割に、彼には一般常識というものがほとんど存在しない。そのため普通の人にとっては日常的なところで、手が掛かったりしてしまう。好物の甘いものばかり欲しがるのも、考え物だ。

“家兎”に関してだって、分からないこともまだまだたくさんある。

それに加えて、最近何だか急に自分に対してよそよそしくなった気がする。目を逸らされたかと思えば、次の瞬間じっとこちらを見詰めていたりする――ということがしょっちゅうあるのだ。何?と聞いても、別に、とそっけなく返されてしまう。
どうにも彼には、まだ隠してることがあるような気がする。

けれども、休みの日には二人で料理を作ったり(実際はバーナビーは役に立たないので殆ど虎徹が作っている)、洗濯や掃除といった家事をこなしたり(平日にバーナビーに頼んでおいたら家中泡だらけにされた)、一緒にテレビを見たり(ヒーローTVの再放送を見ながら、いつもワイルドタイガーにばかりダメ出しをしてくる)、とても平和に過ごしている。しかしそんな極めて日常的な事が、バーナビーにとっては全て新鮮らしく、ブツブツ文句を言いながも、ここでの生活を楽しんでくれているようだった。毒を吐くのも、少しは仲良くなれた証拠だと思いたい。彼の表情が少しずつ豊かになってきて、ここでの暮らしにも自分にも馴染んでくれているのだと、虎徹は密かに喜んでいた。

はずだったのだが。


その日は、突然訪れた。





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