賢者の石

□今日の予定は…?
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―――― 翌朝。

アヤメは広い広いベッドの上で大きく伸びをした。

今まで寝起きしていた狭い孤児院の共同部屋と格段に違う寝心地だった。

突然迎えてもらった身にも関わらずこんなにも良い待遇を受けてしまって良いのだろうかと心配になったが、
昨晩ドロシーから聞いたダンブルドアのことを思い出してありがたく受け取っておくことにした。

まだ眠気が残る目を擦って窓の外を眺めると大きな湖が朝日で輝いていた。

「すごいっー…!」

それもとてつもなく広い!アヤメが歓声をあげるとそれに答えるように大イカがばしゃりと身を翻して水面を波打たせた。

なんだか大イカにまで歓迎してもらっているかのような感覚に浸る…(実際には大イカは歓迎の意を込めて姿を現した)

「すごい…。そういえば…、今日はどうすれば良いんだろう…?」

アヤメはしばし考え込んだが、まずは身支度を整えることにした。

洗顔、着替え、そして最後に用意された白い化粧台で髪を梳かして、用意されていた黒いローブに袖を通した。

「このあとどうしよう…」

考え込んでいると、ふとピンクゴールドのベルがあることに気が付いた。

「これは何に使うのかしら?…わぁっ!!」

アヤメが指を触れると、ベルは刹那にして『ぶわっ』とピンク色の煙を吹いたのだ!
「な、なに?」

突然の出来事に唖然としていると、やがて煙はもくもくと吹き出しの形へと姿を整えた。

吹き出しの中には『ドロシーにご用の際にはこのベルを鳴らしてくださいまし。』とあった。

アヤメは思わず噴き出した。

「もう、ドロシーってば…」

アヤメはひとり呆れたように笑ってベルを鳴らした。
 
 
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