novel

少しずつ知り始める
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「ねぇ、千鶴ちゃん!今日この後用事ある?
 久しぶりに一緒に帰らない?」

「うん!
 でもお千ちゃん、部活は良いの?」

「今日はもう終わりなの。
 先生に用事があって、練習見に来れないから。」

「そうなんだ。
 じゃあ、下駄箱で待ってるね!」




中学の頃は毎日の様に一緒に帰っていた二人も、高校になるとそうはいかなくなっていた。

なのでこうして、二人で帰るのは本当に久しぶりなのだ。

そして千鶴が、教室にある荷物を取りに戻ろうとした、その瞬間・・・




「あれ?千鶴じゃん!
 こんな場所にどうしたんだよ?」




先程まで道場内に居た平助が、千鶴に気が付き近寄って来た。




「――・・・っ!!
 別に、先生の用事で通っただけ。」

「ふーん。
 千姫と仲良いんだな?」






千姫――・・・






呼び捨てなんだ、お千ちゃんの事も・・・





「うん。中学からの友達だもの。
 平助くんも沖田先輩と仲が良いんだね。」

「なっ!!そんな訳ねーだろ!!
 勘弁してくれよ、総司と仲がいいなんてよ・・・」

「僕が何だって?平助?」




平助の影から出てきたのは、先程まで平助と話をしていた沖田だった。




「げっ!何でもねーよ・・・」

「初めまして、僕は沖田総司。」
 
「あっ、初めまして。雪村千鶴です。」

「千鶴ちゃん、ね。
 いつも平助がお世話になってるみたいだね。」

「・・・お世話?」

「総司、お世話になってるって何だよ!」

「だってそうでしょ?
 毎回毎回、屋上にまで迎えに来て貰ってるんだし。」

「総司!!もういいって!!
 じゃ、じゃあな千鶴!また明日!」




平助は総司を無理矢理引きずって、剣道道場へと戻って行った。





「今の何だったんだろう?
 変な平助くん。」





千鶴は平助の行動を不思議に思いつつも鞄を取りに戻る為、再び教室へと足を向けた。
此方を見ていた女の子の視線に気が付かないまま・・・




to be continued...
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