present

□社内恋愛-彼らの恋愛事情-
1ページ/3ページ





「藤堂さんって彼女いるのかな?」





それは千鶴が同僚2人と食堂で、お昼休憩をしている時のこと。


突然、同僚の一人が口に出した質問だった。


もちろん、同僚は…
平助と千鶴が5カ月程前から付き合っていることを知らない。




「…ねぇ、いきなりどうしたの?
 あっ!!もしかして……
 藤堂さんの事好きになっちゃったとか!?」

「――…っ!!」

「ち、違うって!!
 営業部の子が言ってたの!!
 藤堂さんてコンパに誘ってもいつも来ないから、彼女いるのかなって…」




実際、藤堂平助の彼女は、同僚のすぐ傍にいる雪村千鶴なのだが…
二人の関係を知る者は、社内に誰一人としていない。



「そういえば…
 藤堂さんの浮いた話って聞かないね。」

「でしょ?
 私の予想ではいると思うんだけどなぁ…
 ねぇ、千鶴は何か知らない?」

「…っ……し、知らないよ。
 そういう話、したこと無いから…」




同僚に自分と平助との関係を隠していることの罪悪感を感じながらも、千鶴は本当のことを言えなかった。




「そっか…。
 でも藤堂さんなら、絶対にいるよね。」

「いるいる!!
 だって普段から優しいし、カッコイイし!」

「そういえば、知ってる?
 最近経理に入った女の子、藤堂さんのこと好きらしいよ。」

「(――…えっ!?)」

「そうなの!?
 やっぱりもてるんだね、藤堂さん。」




確か、経理に新しく入った女の子ってすごく可愛かったよね…。
分かってはいたけど、平助くんってやっぱりもてるんだね…。


千鶴は同僚が話す内容を、ただただ黙って聞いていたのだが…

事態は一変した。






























「あっ!噂をすれば、藤堂さんだ!」

「――…っ!!」



話の的である本人が食堂に現れたのだから。


.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ