present
□傍にある幸せ
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「わー!すごーい!!」
目の前に広がるのはひまわり畑。
遊びたい盛りの子供は、ひまわり畑に着くなり両親を置いて元気に掛け出して行った。
「千春!!走るとこけちゃうよ!!」
「ったくあいつは本当に元気だな。」
「……平助くんに似たんだよ。きっと…」
「…………否定は出来ねーな。」
平助と千鶴は新選組を抜け、雪村の地へ住み着いた。
その地のおかげなのか、平助の発作を起こす数は徐々に減り、今となっては出ることもなくなったのだ。
そんな二人の間に子供が生まれたのは、遡ること5年前…
桜の花びらが舞い散る中、生まれたその子に付けられた名前は【千春】
千春は二人の愛情を存分に受け、すくすくと成長をした。
ただし…
元気過ぎることが、悩みの種でもあるが…
「父様、母様、早くー!!」と千春は叫ぶと再び元気に走り出した。
そんな娘を目で追いながら、平助はそっと千鶴の手を取った。
「…あっ…」
「手、繋ぐの久しぶりだろ?」
そう言うと平助くんはにかりと笑い、そのまま千鶴の手を引いて娘の後を追う様に歩き出した。
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