present

□きっとこの先も…
1ページ/5ページ


【未来へ行ける薬】が出来上がった。
そう山南さんが俺に言ってきた。

古い書物を頼りに…
なんて説明をしてきたけども、俺は殆ど聞いていなかった。


しかし、問題はその後の言葉だった。
「もちろん実験台になってくれますよね?」



……えっ!俺、実験台になること確定!?



だけど、そんな恐ろしく、怪し過ぎる薬を俺が飲みたいと思う筈もなく、精一杯の抵抗をした。


しかしそんな抵抗も空しく…
俺はその怪しげな薬を山南さんに無理矢理飲まされた。


その後の記憶が、俺には無い。
そして、気が付いた時には…













「…なっ……何なんだよ…此処は…」




周りは見たことの無い建物が広がるばかり…
俺は全く知らない場所に居た。




「……もしかして…」




混乱している頭で精一杯考えた結果…
本当に俺は未来に来てしまったのだろうか?

それだったら周りが、見慣れない建物や物ばかりなのもの説明が付く。



しかし…




「……俺…元に戻れるのか…?」




未来へ行くには薬を飲めば良い…
それに反して、戻る方法を知らない。
もしかして、俺が聞き逃したのか…?
でも、それどころじゃなかったし!!


そんな平助が頭を悩ませている時だった。




「……あの…」




後ろから聞き覚えのある声が聞こえたのだ。
そして、振り返ると其処には…











「――…っ!!千鶴!?」




大切な恋人である雪村千鶴が立っていた。




「……えっ!?」

「もしかして……
 お前も山南さんの実験台にされたのか!?」

「………っ…」



あの人ならやりかねない。
そう考えた平助は、千鶴の肩をがしっと掴み近寄った。

しかし彼女から返ってきた言葉は…




「あの…山南さんって誰ですか?」

「……へ?」

「それにどうして…
 私の名前を御存じなんですか?」

「………へ?」

「私達、何処かでお会いしましたっけ?」

「…………へ?」



何かがおかしい、いやおかし過ぎる。
千鶴が、山南さんのことを知らない筈は無いし…
良く見ると千鶴はいつもの服装とは違う。
見たことのない服装だった。




「…………もしかして…」




今、目の前にいる彼女は…
普段一緒にいる彼女ではなく…




「未来の…千鶴――…!?」

「………?」



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ