present
□晴れのち、晴れ
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辺りが紅色で染まり始める秋は、学校行事が盛んな時期である。
体育祭や前夜祭、そして文化祭だ。
そして放課後はその準備の為、生徒が多く残っている。
「すっげー楽しみ!明後日の文化祭。」
「……そうだね。」
「あれ?千鶴元気ねーじゃん?」
「平助くんの意地悪。分かってる癖に…」
隣を歩く平助は、ずっと機嫌が良いにも関らず、千鶴はそれに反して元気が無かった。
「何でそんなに元気ねーんだよ?
千鶴は絶対に似合うって!」
「……恥ずかしいもん。」
「俺は楽しみ!
彼女の可愛い姿が見れるなんてさ。」
「――…っ!!」
千鶴の元気が無い理由…
それはもちろん、文化祭にある。
「メイド服なんてさ…
これを逃したら千鶴絶対に着ないだろ?」
【メイド喫茶】
それが二人のクラスの出し物であった。
女子は全員、メイド服を着て接客をする。
そして、男子は全員裏方に徹する。
当初は、男子も女装をするという話が出ていたのだが、男子の女装は見たくないという意見を尊重した為、今回は無くなったのだ。
そしてその出し物が決まって以来、千鶴はずっと気を落としている。
逆に平助は、文化祭が近づくにつれてテンションが順調に上がっている。
「総司や一くんも、当日見に来るって!」
「えっ!!」
「俺、デジカメ新しいの買おうかなー。」
「平助くん!!」
「冗談だって!!」
そして千鶴の気持ちとは裏腹に…
ついに、文化祭当日を迎える
天気は、快晴――…
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