short novel

□切望
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もうあの笑顔を見ることが出来ないと分かった途端、俺はあいつに対する恋心に気がついた。

だけど、この想いに気がつくには遅すぎたんだ。
だってあいつはもうこの世にいないから。


あいつは俺たち新選組に出会い、変若水や羅刹のことを知った。
もし、俺たちに出会わなければ、あいつの人生はもっと違っていたのかもしれない。


どこかで、幸せな家庭を築けていたのかもしれない。



来世でまた一緒にいることが出来るのであれば…
今度は最後まであいつの、千鶴の幸せを見守りたい。





それからしばらくして、俺は羅刹となり…千鶴の後を追う様に、灰となって消えた。



そして、俺は生まれ変わった。
戦争の無い平和な時代に…


前世の記憶は中学の頃から徐々に思い出した。
かつての仲間にも出会うことも出来た。


だけど、前世の記憶を持っていたのは…
俺だけだった。


淋しいような気もしたけど、それで良い。
だってまた皆に出会えたんだ。


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