novel

押え切れなかった想い
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学生にとっては楽しい夏休みの始まり。
俺にとっては、大嫌いな入院生活の始まり。


昔から病院は嫌いだった。
真っ白の壁、消毒液の匂い…全てが苦手だ。
きっと俺はもうこの場所から逃げることは出来ないのだろう。





コンコン…
「入るよ、藤堂くん」

そう断りを入れ、入ってきたのは俺の昔からの担当医である松本先生だった。


「調子はどうだい?」

先生のお決まりの一言。
こうして俺の診察は始まった。


「特に昨日と変わらないですよ…」

「そうか。とりあえず心臓の音、聞かせてもらおうかな。」

「…はい。」




昨日と何も変わらない、いつも通りの診察だった。



先生は「今日も元気に心臓が動いているよ。」そう言ってくれた。







俺は今日も生きている―――…



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