novel
□最初で最後のLove Letter
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それは中学3年のクラス発表の時…。
「クラス…離れちゃったね…平助くん。」
「そうだな…。
まぁ、休み時間とか遊びに行くしよ!」
2年間同じクラスだっただけに淋しさを感じたがもう決まってしまったことだ…。
「そうだ!平助くん。手紙交換しようよ!」
「……はぁ?!手紙?」
「うん。休み時間って短いでしょ?だから物足りないかなって…」
結局平助くんは、恥ずかしいから嫌だと言って、一度も書いてくれなかったね――…
綺麗に全てが片づけられた病室
平助くんが居たはずのこの病室には、何も残っていなかった。
「…平助くん…」
どうしても平助くんが死んだことに、実感が湧かない。
もしかしたら、ひょっこり出てくるんじゃないかって…
「本当に…もう居ないの?」
誰が答えてくれる訳でもない、その質問は空気として消えていった。
「千鶴ちゃんいる?」
しばらく病室に居た千鶴に声を掛けたのは平助の母親だった。
いつも元気のある母親も、さすがに今は元気がなく目が腫れていた。
平助の母親は千鶴の隣に座ると、
「平助の傍に居てくれてありがとうね。」
ただ感謝の気持ちを、千鶴に伝えた。
「平助、最後まで幸せだったと思うの…。
大好きな千鶴ちゃんが傍に居てくれたから…。本当にありがとう」
「…いえ…」
きっと平助の母親だってつらいはずなのに、気を使ってくれていたのが痛いほど伝わってきていた。
「後これ、平助から千鶴ちゃんに…」
そう言って平助の母親から渡されたのは…
「…これ……手紙?」
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