clap

□@
2ページ/2ページ


出逢いと別れを何度も繰り返して、またあの季節がやってきた。

まるで春の訪れを祝うかの様に…
桜の花びらが空を舞う、この季節が…


そして花びらが舞う中…
私達はまた出逢うことが出来た――…












「同窓会のお知らせ?」


それは今から遡ること2か月前のこと…

千鶴の元には中学の同窓会を知らせる葉書が届いたのだった。


「……中学かぁ…」


中学を卒業してもう10年の月日が経つ。
同級生は皆、それぞれの歩むべき道を歩んでいる。

同窓会は2カ月後…
場所は懐かしい中学の体育館を借りて行うらしい。

久しぶりに会いたい友達は沢山いる。
そう思った千鶴は、出席に丸をして葉書を返信した。

本当に会いたい人には、会えないだろうが…















そして、あっという間に2カ月が過ぎ…
千鶴は集合時間よりも少し早く学校に到着していた。

同窓会が始まる前に、行きたい場所があったからだった。



それは平助と初めて出逢った場所――…



千鶴がその場所へと到着すると、其処には先客が居る様で…人影が見えた。

最初は遠くて、誰だか分らなかったその人影は、近づくにつれてはっきりとしてきた。


















「……平助…くん?」

「…よっ!……久しぶりだな。」




その人影とは、10年前に別れた藤堂平助本人であった。

別れた時よりも身長は伸び、大人っぽくなっている平助が其処に居たのだ。



「…どうして、此処に?」

「俺、実は4年前にさ…
 日本に帰ってきてたんだよ。」



千鶴と平助はお互い別れてから、連絡を一度も取り合っていなかった。
お互いに未練を残さない為にも、連絡は取り合わないと決めたからだ。


「本当は、日本に戻ってからすぐに…
 千鶴に会いに行こうって思ったんだ。」

「……っ!」

「でも…千鶴に新しい恋人が出来てたら…
 俺が会いに行ったら迷惑だなって…
 だから、結局一度も行けなかった。」



自分から別れようって言ったくせに…
結局、未練たらたらだった。



「今日も本当は来るの止めようかと思ったんだけどさ…
 どうしても千鶴に会いたかった。
 俺…来月からまた海外に引っ越すんだ。」

「……っえ!?」

「今度は親父じゃなくて…
 俺の仕事の都合なんだけどな。」



折角また出逢えたのに…
また平助くんに会えなくなるの?



「千鶴が元気そうで良かった。」



平助は笑顔でそう言うと、集合場所である体育館へと足を運ぼうとしている。



このまま平助くんを行かせてしまっても…
私は後悔しないのだろうか?



なにも未練があったのは平助くんだけじゃない。
平助くんと別れて、何度か男の人とお付き合いをしたけど、どの人とも長続きしなかった。


その原因は、自分が一番分かっている。






「……平助くん!!」

「…千鶴?」



千鶴に呼び止められた平助は、足を止め千鶴の方へ振り返った。





もう、昔の様に子供じゃない。
何も出来なかった、あの頃とは違う。

















「一緒に連れてって!!」





だから、今度は…
別れるという決断をするのではなくて…





「平助くんの事が、好きなの…」

「……千鶴。」

「ずっと、ずっと…後悔してた。
 平助くんと別れてしまったことを…」






貴方と一緒に生きる道を選びたい。






「俺と一緒に…来てくれるか?」

「…うん。」

「お前のこと、もう離してやれねーけど…
 それでも良いか?」

「うん。……もう、離さないで…」






25歳の春、桜の花びらか空を舞う中
愛しい人の温もりを感じることが出来た。



end ※2012/03/31〜2012/04/30掲載
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ