此処は、夢を売り体を売り…
男を魅了する場所――…
遊郭
女は巧みな言葉で男を誘い…
男は一夜限りの夢を買う――…
「…もう此処には来ないで…」
彼は、私に触れない。
ただ、一緒にお酒を呑み話すだけ…
「なんでだよ?」
「……だって…」
彼は昔からの幼馴染。
だけど、私の家は彼の家と違って貧困で…
私は此処に来るしか無かった。
『千鶴!!』
『…さよなら、平助くん…』
『……っくそ!!
俺、絶対にお前を迎えに行くから!!
それまで待ってろよ!!』
その会話を最後に私達は、別れた――…
そして3年が経ち、彼は突然私の前に現れた。
あの時の約束を守る為に――…
「俺が来ると、迷惑か?」
「…っ……」
「千鶴が迷惑だって言うなら俺は来ない。
でも、そうじゃないって言うなら…
俺は約束通り、お前を迎えに来る。」
叶うなら、貴方の元に…
そう何度も何度も神様にお願いをした。
「……迷惑だよ。」
「――…っ!!」
本当に迷惑を掛けているのは私の方…
こんな汚れきった私が貴方の元へ行ける筈がないのに…
だから、決めたの。
本当の「さよなら」を貴方に告げると…
「………今日でさよなら、だよ。」
どうか、平助くんは幸せになって下さい。
私のことは忘れて、幸せに――…
その後…
平助くんはただ黙って部屋を出て行った。
此方を振りかえることなく、ただ黙って去って行った。
『千鶴!!大きくなったら…
俺のお嫁さんになってくれ!』
『……うん!!
私、平助くんのお嫁さんになる!!』
懐かしい思い出を胸に
私は今宵も貴方の夢を魅る――…
to be continued...