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□それは甘い幻想
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此処は、夢を売り体を売り…
男を魅了する場所――…



遊郭



女は巧みな言葉で男を誘い…
男は一夜限りの夢を買う――…

























「…もう此処には来ないで…」


彼は、私に触れない。
ただ、一緒にお酒を呑み話すだけ…


「なんでだよ?」

「……だって…」


彼は昔からの幼馴染。
だけど、私の家は彼の家と違って貧困で…
私は此処に来るしか無かった。







『千鶴!!』

『…さよなら、平助くん…』

『……っくそ!!
 俺、絶対にお前を迎えに行くから!!
 それまで待ってろよ!!』







その会話を最後に私達は、別れた――…
そして3年が経ち、彼は突然私の前に現れた。






あの時の約束を守る為に――…







「俺が来ると、迷惑か?」

「…っ……」

「千鶴が迷惑だって言うなら俺は来ない。
 でも、そうじゃないって言うなら…
 俺は約束通り、お前を迎えに来る。」







叶うなら、貴方の元に…
そう何度も何度も神様にお願いをした。







「……迷惑だよ。」

「――…っ!!」





本当に迷惑を掛けているのは私の方…
こんな汚れきった私が貴方の元へ行ける筈がないのに…






だから、決めたの。
本当の「さよなら」を貴方に告げると…







「………今日でさよなら、だよ。」






どうか、平助くんは幸せになって下さい。
私のことは忘れて、幸せに――…










その後…
平助くんはただ黙って部屋を出て行った。
此方を振りかえることなく、ただ黙って去って行った。































『千鶴!!大きくなったら…
 俺のお嫁さんになってくれ!』

『……うん!!
 私、平助くんのお嫁さんになる!!』




懐かしい思い出を胸に
私は今宵も貴方の夢を魅る――…



to be continued...

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