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□A
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「千鶴、お前もう高校生だろ?
 放課後はデートとかあるんじゃねーの?」

「無いから此処に来てるんですよ…」





19時を少し過ぎた頃、最後まで残っていた園児の母親が迎えに来た為、賑やかだった園内は静けさを増している。

職員室では、平助がやり残した仕事を終えるのを千鶴が待っていた。






「……先生、私ね…
 先生が結婚していたら、先生のこと諦めようって思ってたんですよ。」

「――…っ!!
 お、お前は急に何を!!」






10年振りに再会して

もし先生が結婚していたら…
もし先生に彼女がいたら…

この初恋は諦めようって覚悟していた。







「だって…先生信じてくれないもん。
 私が、先生のことを好きだってこと…」

「いや、それはお前…
 小さい頃に言ってた事じゃねーか…」

「今も先生が好きなんです!!
 今まで色んな人と出会いました。
 それでもやっぱり…」







先生のことを諦められなかった――…








「先生が…好きなんです。
 10年経った今でも…」








この想いは決して偽りなんかでも…
一時的なものなんかでも無い。








「……なぁ…
 俺、もう30手前なんだけど…」

「はい。知ってます。」

「こんなおっさんじゃなくても…
 周りに良い男なんて幾らでもいるだろ?」

「……居ません。
 私の一番は、今も昔も先生なんです。」

「…っ……」

「だから、覚悟してて下さい。」

























これからもっともっと良い女になって
先生に振りむいてもらいますから。


恋は実らせる為にあるんです。
例えそれが、初恋だとしても――…


to be continued...
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