clap

□C
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ピンポーン――…

自宅のインターホンが鳴り、千鶴は家の扉を開いた。扉の向こうに居たのは…


「先生、いらっしゃい。」

「おぅ…」


いつものラフな格好の平助ではなく、ネクタイをビシッと締め、スーツを着た平助の姿が其処にはあった。



































『………もしもし、千鶴?』


水曜日、初めて保育園に行かなかった。
原田先生から、恋は押してばかりじゃ駄目だと、たまに引くことも大事だと教えてくれたから。


だけど、まさか…


「…っ…先生?」


先生から電話がくるなんて、思ってもみなかった。

今までのメールは私から送ってばかりで…
電話はもちろん、先生からメールが来ることなんて今まで一度も無かったから。


『今、大丈夫か?』

「…はい!!」

『あのさ……
 一つ聞きてーんだけど…』

「……何ですか?」


そう聞いたものの、先生は中々質問を言ってこない。電話の向こうでは、小さく唸り声が聞こえてくる。


「……先生?大丈夫?」

『……全然…大丈夫じゃねー…』

「……え?」

『お前、彼氏でも出来たのか?』

「かっ!!彼氏ですか!?」

『……相手は、左之さんか?』



……どうして、原田先生!?
そもそも彼氏ってどういうこと!?



『お前、今日来れなくなったこと、俺じゃなくて左之さんに連絡するしさ…
 急に連絡もして来なくなったじゃん…』

「そ、それは…」



原田先生の助言を受けてしなかっただけで…
本当は先生にすごく連絡したかった。



『だから、千鶴に彼氏でも出来たんじゃねーかって思ってさ…
 なんかそう思ったら、今日も仕事に全然手が付かなくなっちまったし…』

「……先生?」

『俺、左之さんや知らない奴に…
 すっげー嫉妬した。』

「――…っ…!」

『俺…
 千鶴が、好きみたいだ。』



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