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□運命の赤い糸
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むかし、むかし
まだ日本が統一されるずっと、ずっと昔…

小さな国々が日本中のあちらこちらに散らばり、自身の領土を広げようと争いが毎日のように起きていたそんな時代…





未来が視える――…





ある小さな国には代々、予知能力を受け継ぐ姫が居た。そして、その噂を聞きつけて姫を狙う者達も沢山居た。

しかしその国の人々は争いを嫌い、また大切な姫を守る為に人里から離れた。

その結果、その国は深い森に囲まれている。
まるでその国を守るかの様に、森の中は迷路の様になっていた。
今まで、沢山の人間が姫を狙い森の中へと入って行ったが、国にたどり着いた者も、森から出れた者もいない。

その為、人々は平和に暮らしていた。
あの日が来るまでは――…



















「姫ー!何処にいらっしゃいますかー?」



一人の青年が馬に跨り、屋敷から逃げ出した姫を探す為国中を駆けている。
姫が逃げ出すという事態は、通常であればあり得ないことなのだが…
この光景は、この地に住む人々にとっては見慣れた光景だった。



「平坊!また姫に逃げられたのかい?」

「平坊って言うな!」


畑を耕す人々は、馬に乗る青年に声を掛ける。


「平坊も立派になったねぇ。
 昔はあんなに小さかったのに…」

「…っ!!だから!!」

「本当だな…
 やんちゃばかりしてた平坊が、今は姫様に仕えるようになるとは…」

「……おーい…」

「平坊!!
 姫さんなら、泉の方に行ったよ。」

「まじで!?ありがとな!!
 また来るから、一緒に酒でも飲もうぜ!」



平坊こと平助は、姫に仕える従者だ。
毎日姫の世話をするのだが、姫はよく平助から逃げだしていた。

そして、そんな逃げ出した姫を見つけ出すのが、平助の日常茶飯事となっている。



平助が仕える姫、千鶴姫は…
未来が視える能力を受け継いでいる。



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