clap

□A
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周りの騒がしさが、増している。
その中には、人々の悲鳴も交じっている。

平助は千鶴を庇いながらも、隣国の兵士を順番に倒していく。





「……くそっ…千鶴、大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ…」

「絶対に守ってやるからな!」





とにかく今の状況を覆さなければ、千鶴の命は守れない。
まずは、道を作りこの部屋から出なければ…

残りの兵士の数は、10人前後。
どうやら平助以外の人間が、新たな兵士をくい止めているのだろう。

これならまだ、勝算はある筈だ。
そう平助は確信し、刀を握り直した。





「おら、さっさと掛ってこいよ!!」





戦いは続く。

ある者は愛する人間を守る為
またある者は力を求める為――…

いつの時代も、血は流れるのだ。




























平助の息は切れ切れに…
しかし、平助の周りには千鶴以外に立っている人間は居なかった。




「平助!」

「千鶴、怪我は無いよな?」

「うん…でも平助が!」





平助の体は傷だらけになっていた。

見たところ致命傷は無さそうだが…
このまま放置していて良い筈が無い。





「俺なら大丈夫だって!
 だから、すぐに逃げるぞ!」

「……でも!」

「約束しただろ?
 俺がずっとお前の傍に居て、守ってやるって!」

「……そうだけど…」

「俺がお前を残して、死ぬわけねーだろ。
 だから、今は此処から出よう?」

「……うん…わかった。」










しかしその瞬間、平助は再び殺気を感じた。
死んだと思われた兵士の一人が、最後の力を振り絞り二人を襲ってきたのだ。

いや、正確には平助のみをだ。

全員を殺したと思っていた平助は、一瞬のことに体の反応が遅れた。






「死ねー!!!」

「――…っ!!」







ザシュ――…!!







人の肉が切れる音と共に、辺りを濡らす赤。
目の前は一瞬にして、真っ赤に染まった。



to be continued...
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