clap

□B
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染まる、染まる・・・
世界が真っ赤に、染まっていく――

どうしてこうなった?









「――っ千鶴!!!」









スローモーションでもかかった様に、俺を庇った千鶴がゆっくりと倒れていく。

隣国の兵士は、千鶴を切り息絶えた。
千鶴を切ったとは気が付かずに・・・

平助はすぐさま千鶴の元へと駆け寄る。
しかし、千鶴の意識は既に朦朧としていた。





「千鶴!!千鶴!!」

「……へい、すけ?」

「千鶴!!すぐに医者に見せるから!」

「大…丈夫、だった?」

「あぁ、お前が庇ってくれたから。」

「よかった、平助が……無事で…」





止まらない。
傷口から流れる赤い血は、止まる様子が無い。

早く早く、医者に見せなければならないのに、俺の体は固まって動かない。





「あのね……へいすけ…今……視えたの…」

「……視えた?」

「うん……見たこと無い…衣装、を…
 身に…纏ってね……笑ってるの…」





息が続かない。
胸が苦しい。






「私と…へいすけ、が…笑ってた…」

「千鶴?」

「また…出逢える、よね……
 今度は……きっと…争いなんて…無い…」

「千鶴!!逝くな!!」

「……へいす…け……」






平助、泣かないで…
私達、また出逢えるんだから…






「……大好き……だ…よ…」




























彼女は笑っていた。
俺が好きだったその笑顔で、最期を迎えた。

俺は何の為に、今まで彼女の傍に居た?

守りたかったんだ、彼女の全てを…
彼女を狙う全ての者から…

なのに守れなかった。






「っちくしょぉぉぉおお!!!!」






俺は、なんて無力なんだ。



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